平成12年3月議会における私の「討論」

討論を行います。
 議案第11号、17号、21号については反対の立場から、また、議案第1号、2号、18号については一部指摘をしつつ賛成の立場から行います。

 まず、賛成の方から。議案第1号の介護保険条例について、果たしてこれが地方分権の時代にふさわしい条例であるかどうか、町民の方が見た場合、うん、なるほどそうかと思わずうなづくようなそんな分かりやすい条例であってほしい。そのためにも、条例の目的・理念をきちんと規定してほしかったと思います。法律に書いてあるからいいというのではなく、自治体としての愛川町が理解する介護保険の理念と目的をこそ条例に明記すべきではないか。それでこそ愛川町の介護保険条例であり、それによって何をめざすのかを町民に示すことが、条例を制定する意義ではないでしょうか。残念ながらこれでは顔のない条例、単なる施行条例です。
 以下、何点か条文の指摘をしておきますと、町民の権利規定がないのに、責務だけを規定したのは問題です。条例としての整合性にも欠けますし、また、町民に対する町の姿勢がこんなところで現れてしまっています。
 16条〜18条において、きわめて広い意味にとれる「必要な措置」を連発したのにも問題があります。せめて、第16条では、その具体的な措置として、介護保険運営協議会の設置を条文規定してほしかったと思いますし、相談および苦情への対応について規定している第17条においても、第三者機関としての福祉オンブズマンの設置を明記してほしかったと思います。
 第3章、保険料について、これがいちばん問題です。この保険料、政令で決められてしまっているので、市町村がかってに独自の条例で減額したり、免除したりすることはできないとされています。介護保険は市町村の自治事務のはずなのに、いちばん肝心なところで自主性が認められていないのは変な話です。
 しかも、保険料の設定自体、低所得者にとって極めて負担の重いものになっています。1号被保険者の保険料は5段階方式が採用され、所得状況に応じて払う区分1と区分5の保険料の差は3倍しかありません。ちなみに、2号保険者が加入する国民健康保険の例で言いますと、その差はおおよそ10倍以上あり、一人暮らしの6割軽減世帯をベ−スに考えれば、その差は21倍となります。つまり、それだけ所得状況が考慮された設定になっていると言えます。ところが、65才以上の保険料についてはそれがないため、低所得者にとっては、払うのが大変です。とてもこんな高い保険料は払えないという声がすぐ出てきます。このまま制度がスタ−トすれば、いずれ大きな社会問題になることは明白です。もっと、現実に則した保険料の体系に改めるよう、国に対して要請していただきたいと思います。この現実とのギャップは、とても、相互扶助の精神という美しいことばで、乗り越えられるようなものではないと思います。
 このように、内容的には極めて問題の多い条例ではありますが、施行の期日も目前に迫ってきており、否決された場合の影響を考えると、例え不十分な内容であっても、賛成するしかないと判断します。

 次に、議案第2号、国民保険税条例の一部改正について、介護保険の施行にともなう条文の改正ですから、特に問題となる点もないのですが、しかし、同じ内容を伝えるのに、どうしてこのような難しい表現になるのか、国からきた準則がそうだからといえばそれまでですが、地方分権といいつつ、いつまで国からの準則のお世話になるのか、どうせもらうにしても、なぜ、もっと平易な表現にしてもらえないのか、こんな難しい条例、いったい誰が読むのかといいたくなってしまいますが、今後の取り組みに期待いたします。

 議案第18号の国民健康保険特別会計ですが、ご承知のように今年から医療分に加えて介護分が上乗せされます。当然、その分保険税はアップします。しかし、厳しい財政状況にもかかわらず、一般会計からの繰り入れを増額し、医療分の値上げを押さえたことは、何をおいても町民の暮らしを優先して考える町長のいわば「英断」であり、高く評価したいと思います。
 ただ、一般会計から3億円もの繰り入れをしなくちゃならないという、こういった状況からしても、すでに国保は瀕死の状態にあります。しかも、介護分の保険税が上乗せされたことにより、滞納者が増えることは確実です。さらに、来年度においては、今度は医療分の大幅な値上げが避けられない状況となります。それでなくても脆弱な財政基盤の上にのっかかっていた国保は、介護保険によって足もとを大きく揺すられることになってしまいました。この際、抜本的な改革が必要なことを強く国に要請していただきたいと思います。
 ここで一言申し上げたいのは、こういった国への要請をいつも町長にばかりお願いしないで、我々議会としても独自の判断で国への意見書を上げるとか、今後はそういった取り組みが求められていると思います。
 さて、次は、議案第11号公共下水道使用料条例の一部改正について、反対の意見を申し上げます。最初に断っておきますが、私は、値上げの必要性については理解をしております。私が反対するのは、17.3%という値上げ率であり、この時期10%を超える値上げは町民の理解を得られないと思うからであります。前回の値上げは10%でした。このとき私は賛成しております。
 では、なぜ、今回は17.3%なのか。下水道審議会に出された資料によれば、公共下水道使用料対象経費は、流域下水道の負担金と町の維持管理費、そして、下水道債の元利償還金、いわゆる資本費によって構成されています。
 で、今回、なぜ、17.3%という数字が出てきたのかと言えば、この資本費に充当する使用料の額、つまり算入率を30%の線でキ−プしたいと、算入率30%をキ−プするためには、使用料を17.3%値上げしなくてはならないと。こういった仕組みになっています。
 確かに、平成12年度から14年度までの3年間の平均で30%をキ−プするためには、そうなります。数字的には。
 しかし、数字の中身を見ていきますと、いくつか重大な問題があります。
1つは、一般会計からの繰り入れ金です。ここ数年、5.5億円の定額繰り入れとなっていて、まったく伸びておりません。繰り入れ金の財源の最大のものは都市計画税です。
ここ数年、固定資産税の伸びとともに伸びてきていますので、下水道会計への繰り入れ金額も伸びて当然のはずです。ところが、それが伸びていない。なぜか。どうも納得ができないので、財政に聞いてみました。
 すると、都市計画税の繰り入れ額自体は増えているのです。平成10年が約2.2億、11年は、2.9億、12年は約3.1億とここ2年間で9000万も増えています。ところが、総額は増えていない。ということは、他からきていた分が減らされているということです。つまり、都市計画税がいくら増えようと、また、資本費の返済がいくら増えようと、繰り入れ金はいつまでたっても5.5億円に固定されたまま。まわってくるべきお金がまわってこないのですから、後は勢い、受益者負担の原則を持ち出して料金の値上げをせざるを得ないと、こういった構図になっています。
 実は、この値上げには、もうひとつ、トリックがあります。
それは、地方交付税です。昨年は予期せぬプレゼント、普通地方交付税を1.7億ほどいただくことができました。その交付税算定のもととなる基準財政需要額に対し、減税補填債は100%繰り入れられるということですが、もちろん、下水道債も繰り入れてもらえます。地方債の償還ということだけで考えれば、下水道債はそのうちの50%以上を占めています。ということは、単純計算で行けば、1.7億の半分の8500万は下水道債の償還のための交付税だということになります。この8500万を資本費の償還に当てれば、もう、それだけで値上げは必要なくなります。実際に計算していただければおわかりになると思いますが、資本費に対する算入率は30%を越えてしまい、値上げの根拠はなくなってしまいます。ええっ、と驚かれるかも知れませんが、計算上はそういうことになります。 ところが、実際は、そうはなっておりません。下水道債の償還のためにいただいた交付税も一般会計の中へ入れられてしまって、下水道のために使えない仕組みになっているのです。
 でも、これってやっぱり変じゃないですか。基準財政需要額への算入率というのも、おおむね決まっているようですし、下水道事業のために借金したのが、必要経費として認めてもらえて、交付税措置されたわけですから、下水道のために使うのが本筋というものです。それにしても、下水道課は、町民に新たな負担を強いる前に、なぜ、これを財政当局に要求しないのでしょうか。町民のためにもきちんと権利の主張をしていただきたいと思います。
 しかし、長期的な展望に立って考えたとき、これから先、どうやって下水道の借金を返して行くのでしょうか。財政計画を見ればわかるように、これからはものすごい右肩あがりの曲線になっています。ついこの間まで、4億、5億といっていたのが、すぐ、6億円台になり、これからは7億、8億、9億と急角度で上昇して行きます。これから、12年間で約100億円の借金を返さなければならないのですから大変です。一体、いくら値上げすることになるのでしょうか。
 これは私の試算ですが、今後12年間で資本費への算入率30%を確保するとして、今回のみ、10%の値上げを行い、3年こどに5%の値上げを実施するとして計算すると、算入率は29.5%となります。
 30%には0。5%足りませんが、ほぼ、30%に近い数字にはなります。今回いきなり、17.3%なんていう大幅な値上げをしなくても、10%の値上げでも、長期的に考えれば、30%の算入率はキ−プできるのです。しかも、当然あってもいい都市計画税の増額や地方交付税については、まったく計算に入れなくて、これだけの数字になるのですから、もし、何らかの形でそれが資本費に充当されれば、おつりがきます。ですから、今回の値上げは10%以下に押さえることが可能なのです。
 そして、資本費償還のピ−クをすぎれば、あとは下り坂ですから、算入率も30%から40%、50%と上げて行くことも可能です。要は、これからの急坂をどうやって登りきるのか、それが問題なのです。将来を見通した財政計画が求められます。そのためにも、特定財源としての都市計画税や地方交付税の充当先を明確な根拠にもとづいて整理しておくことが、必要です。財政当局の取り組みを期待します。

 さて、いままで下水道の値上げに対して反対の意見を申し上げてきましたが、議案第21号の下水道会計特別会計についてもこの値上げ分が予算計上されておりますので、反対をせざるを得ないということであります。

 さて、次は議案第17号一般会計予算
まず、教育費ですが、予算を倍増させるぐらいの意気込みが欲しかったと思います。といいますのも、いま、教育現場はきわめて憂慮すべき状況にあります。つい先日も中3男子のひき逃げ死亡事件の報道がありました。トップの責任の問題はともかく、こういった事件がいつ起こっても不思議ではない状況にあります。
 町長以下、町の特別職のみなさんは、去年、テレビ放映された事件がきっかけとなって責任をおとりになりましたが、本当の意味での責任をとるということは、給料を減らすことではなく、原因を究明して、二度と再びそういった事件が起きないように、再発防止に取り組むことではないですかと、町民の方から言われて、一瞬、はっとしました。まさに、その通りで、この事件を教育問題として考えるならば、新年度予算においても、そのための事業、予算の関係がはっきりと見える形でなければおかしいと思うのですが、どこにもそれらしきが見当たらないというのは一体どうしたのでしょうか。予算編成の時点でそのことがきちんと議論されたのでしょうか。それとも給料の減額で責任はもう済んでしまったとお考えなのでしょうか。教育は最重要の課題のひとつです。
 この際、幣山下平線に使う予定のお金を教育予算にまわすぐらいの責任感と気概を求めたいと思います。
 さて、そういった中にあって、スク−ルカウンセラ−を全中学校に配置したのは、さすが、臨床心理学に造詣の深い教育長ならではの判断と思います。しかし、小学校も危機的状況にあります。
 学級崩壊の足音が忍び寄ってきています。いきなり、30人学級が無理であるなら、せめて、先生方を雑務から解放してあげるためのサポ−ト体制づくりなど、できることから取り組んでいただきたいと思います。児童、生徒、教職員に対するメンタルケア体制の充実も急務です。
 これだけ学校が問題をかかえているというのに、本町に指導主事の先生が2人というのも寂しい限りでありす。少なくとも寒川町並みに4人の体制に整備をお願いしたいと思います。

 総務費ですが、公共施設の休日オ−プンに向けてぜひ努力をお願いしたい。すべての施設を一度にということではなく、利用者の多い、投資効果が期待できる施設から、試行的に実施を検討願いたいと思います。
 地域情報化への取り組みについては失望しました。30数万という予算額もさることながら、この大きな時代の変革期に、ほとんど内容的に昨年と変わらないというのが驚きです。去年1年何をしていたんでしょう。推進計画ができてからだなんて悠長なことを言ってないで、できることから、何でも取り組んで行くべきです。各公民館にパソコンを設置して、インタ−ネットにつないで町民に解放することなど、やろうと思えば、すぐできるはずです。

 民生費、障害者基本計画については、前向きに取り組んでいただきたい。法的な位置づけもされている障害者施策推進協議会を設置して、まず関係者の意見を聞くことからはじめていただきたいと思います。
 老人福祉については、介護保険がらみでいろいろご苦労があったことと思います。保険料の負担を極力押さえるため、一般財源をつかった福祉サ−ビスの充実に努められたことは適切な判断でありました。
 しかし、短期ホ−ムケアについては、介護保険のサ−ビス不足分を補うという発想はよしとしても、利用者に費用の1/2の負担求めるというのはうなずけません。他市町では、他のサ−ビスと同じく1割負担であります。しかも、1/2という重い負担がサ−ビスの利用を抑制するために必要だという考え方を聞かされるに及んでは、愕然としてしまいました。

 衛生費、国・県が勧めるごみ処理の広域化はいろいろ問題が多く、果たしてこのまま進めていいのか疑問に思われます。広域化だけにのめり込むのは危険で、別の選択枝の確保が不可欠と考えます。
 農林水産業費、農業用のプラスチックなどを回収する農業用廃棄物回収処理はタイムリ−な事業と言えます。林業振興事業は県の財政難のため年々予算が削減されていますが、必要な事業ですので、一定程度の予算額の確保に努めていただきたい。
 商工費、ISO認証取得基礎セミナ−は成果が期待されます。逆に、町も取得に向けた取り組みが必要ではないでしょうか。
 土木費、幣山下平線は、生態系の調査を行いそれを計画に反映させるというのであれば、調査が済むまで、事業は一時ストップすべきと思います。
 消防費、神奈川新聞に出る本町関係の記事の大半は消防関係ということからしても、情報発信の重要性をよく理解されています。消防は火を出してから消すよりも、火を出さないことが何よりも肝心です。その点、防災意識の普及・啓発や応急手当の普及啓発にも積極的に取り組んでいる本町の消防は、もって範となすべきと評価をいたします。

 以上何点か指摘をしてきましたが、12年度予算の最大の問題点は、実は、施政方針で述べられた予算編成の基本的な考え方、特に総合計画の着実な推進にあります。そこに描かれている本町の将来像とは、これから目指すべき成熟社会、心の豊かさの時代とは無縁の、まさに、成長・拡大に支えられた成長型社会、「ものの豊かさ」の時代を象徴するものでありす。人口想定の数字が如実にそれを表しています。
 平成22年の人口は何と5万5千人、中間の平成14年でも4万8千人の人口を想定しています。なぜなら、時代のニ−ズに即した産業振興によって、着実でかつ高い率の人口増加が見込まれるとされているからです。これが成長・拡大路線でなくて何でしょうか。 しかも、最近でこそ聞かれなくなりましたが、つい数年前までは市への移行が熱い思いで語られていました。計画の中でも、「本町の人口は県央地域の中でも高い増加率をしめしており、21世紀初頭には5万人に達することが予想され、また、都市行政(=市昇格)への移行が施策の大きな柱となってきます。」と述べられています。町の発展・成長→人口増加→市政移行→これがゆめ愛川2010が描く将来ビジョンです。
 熱い思いで語られるバブル時代の夢の数々、庁舎周辺核づくり事業、公共施設の集積を図り、役場城下町をつくるとか、眠りから覚めた博物館計画、そして観光名所にもなりそうなシルクロ−ド幣山下平線、などなど、とても「心の豊かさ」とは言い難いものです。、結局、やはり、「ものの豊かさ」になってしまうのは、総合計画の着実な推進にこだわるあまり、来るべき時代のグランドデザインが描ききれていないからではないでしょうか。 「心の豊かさ」を求めつつ、結局「ものの豊かさ」に終わってしまう12年度予算には同意しがたく、反対をいたします。