熊坂てつ 議会レポ−ト



2002年8月発行 第27号
ズサンな内容の工事に3億2千万!
志田・向原処分場の閉鎖事業

山田町長は、志田・向原処分場の閉鎖事業について、繰り返し議会で「今回の工法が最善の工法である」と述べたが、とてもそうは思えない。果たして町長の言うように、最善の工法であるかどうか、それを検証してみよう。


<これまでの経緯>

参照:志田・向原最終処分場適正閉鎖・廃止事業について

昭和40年代後半から50年代はじめにかけて、廃棄物処理法が改正が行われましたが、法適用以前の施設として、志田(残灰)・向原(し尿)両処分場は、この間ずっと法律の適用を受けないできました。安全性に問題があっても、法律より先にできたからという理由で、お目こぼしにあずかったきたわけです。

しかし、重金属による汚染やダイオキシンなど環境ホルモンが大きな社会問題になったことにより、いくら法律より前にできたからとはいえ、環境に対する影響を考えると、このまま埋め立てを続けるのはよくないとして、国から埋め立ての中止と処分場の適正な閉鎖が求められていました。

そこで、処分場の地質や地下水の動き、汚染の状況などについて調査を行い、それをもとに閉鎖のための計画をつくり、議会に提案しました。

<計画の内容>

志田処分場には雨水対策としてキャピラリ−・バリアを向原処分場には雨水対策として同じくキャピラリ−・バリアを施工し、さらに地下水対策として周囲(上流側3方向のみ)に遮水壁を設置するというものです。

キャピラリーバリア型覆土は、表面から覆土に侵入する雨水を、土質材料間の毛管力の差を利用して側方へ排除し、地下への浸透量を低減させる覆土です。覆土内に浸透した水は、粗粒土層へは容易に浸透せず、細粒土内を下流方向に流れ排水されます。  

アメリカの半乾燥地帯などでの施工例はあるが、日本ではまだない。(愛川町が始めて)
*インタ−ネットで検索しても、日本のサイトではあまり見つからない。
英語版で比較的まとまっているのが以下である。
Water Resources Research 2000
http://www.aben.cornell.edu/faculty/walter/wrr00home.htm#MoreTop


<その1> これって逆じゃないの?

町の計画によると、ダイオキシンや重金属が埋まっている志田処分場には、周囲から水が浸入するのを防ぐ「遮水壁」を設けず、逆に、主に<し尿>が捨てられてきた向原処分場に「遮水壁」を設置するという。

これって逆じゃないの?

はるかに危険性の高い志田処分場には必要な対策が行われず、ほとんど危険性のない向原処分場に多額のお金をかけて過剰な設備をつくるというのは、常識では考えられないことです。

なぜ、志田処分場に必要がないかといえば、水質調査の結果が環境基準以下であるから。つまり、基準値以下なら安全だというのが町の考えだ。

ところが、志田処分場では、去年、環境基準を2倍も上まわる重金属の「鉛」が検出されている。それに対して町は、そのときは測り方が悪かったからだ、もう一度測りなおしたらOKだったので何も問題はないと答えている。(あ然)


○9番(熊坂徹君)

1回だけ検査して出なかったからこれで大丈夫だと、そういう判断をされたと理解してよろしいですね。

○環境経済部長(井上浄二君)

、、、、、そのとおりであります。


<その2> 必要性・緊急性ともに乏しい向原処分場

向原処分場については、地下水の水位も高く、「窒素」が基準をオ−バ−しているから、そのための対策(遮水壁)が必要というのが町の考え。

ところが、「窒素」については処分場の上流側の方が濃度が高いことが判明した。報告書も窒素に関しては周辺の有機系の肥料の影響ではないかと言っている。


○環境経済部長(井上浄二君)

これは上流側の方で、家畜関係のし尿等を投棄しているということが考えられるのかなということであります。


つまり、「窒素」については、向原処分場よりも「家畜関係のし尿等の投棄」が原因である可能性が高いわけです。それなのに、なぜ、向原処分場の周囲を幅55cm深さ10m〜13mもの遮水壁で囲わなくてはいけないのか。これこそ税金のムダ遣いではないのか。

それと、し尿などに含まれる有機系の「窒素」と重金属の「鉛」では、人体への影響・危険性の度合いが全く違う。

いくら基準を超えているからといって、「窒素」なら安全とはいわないが、この不景気の時代にそのために巨額の税金をつかって大規模な工事をする必要は全くない。

「窒素」が原因で、周辺に深刻な環境問題を引き起こしているのならともかく、何も問題が発生していないのに、ただ、基準を超えているというそれだけの理由で、こんなことに何億もの税金をつぎ込むなんて、いったい愛川町のトップは何を考えているのか。

もともと、向原処分場は「し尿」を埋め立てていたことから、構造的にも最初から地下浸透式、つまり自然浄化方式の処分場だったわけです。じっく時間をかけて地下浸透した「し尿」は、最後には志田沢に流れ込むわけですが、もうそのときにはすでに浄化されているということなんですね。

確かに、処分場の直下をはかれば、基準をオーバーしているかもしれないが、そこから外部環境に出て行ったときには、もう既に「浄化」されて「良質化」されていると報告書も認めています。

これなら誰だって、何も問題ないと思うでしょう。必要性、緊急性ともにゼロです。ましてや、そのために何億ものお金をかけて、工事をやろうなんて決して思わないはずです。ところが、愛川町のトップの判断は違うのです。


○町長(山田登美夫君)

やはり町民が安全で安心して生活がおくれることを考えますと、町としましては環境問題への積極的な取り組みをしていかなければならないと考えております。そうした中で、向原についての工法を決定したわけでございます。


<その3> では、志田処分場については町民は安心できますか

「町民が安全で安心して生活」できるように、町長は心を砕いてくださったそうですが、だったら、なぜ、それを志田処分場にやってくださらないのでしょうか。町民は向原処分場のことは何も心配していません。町民が本当に心配しているのは、向原ではなくて志田の処分場です。「し尿」じゃなくて、ダイオキシンや鉛などの重金属が埋まっている志田処分場が心配なのです。

ところが、こちらは水質検査の結果が基準をクリア−しているから問題はないという、そんな形式にとらわれたレベルの判断でしかないのです。もちろん、処分場のリスク管理という発想もなければ、町民がどれほど心配しているかなど、考えてもくださいません。

<その4> たった2000円でできる検査をなせ゜やらない?

その証拠に、基準を2倍も上まわる重金属の「鉛」が検出されても、もう一度測りなおしたらOKだったとして、問題なしとしてしまいました。これには私もあ然。こんなやり方が通ると本気で思っていらっしゃるのでしょうか。

しかも、「鉛」が検出されたのは測り方が悪かったからだなんて。測ったのは素人じゃなくて、町が頼んだ専門の業者なんですよ。いままでに何度も測っているんです。今回だけ測り方が悪いだなんて、そんなのおかしいですよ。

だから、私は言いました。もう一度測りなおしたらOKだったなんて科学的じゃないって。基準をオ−バ−した「鉛」だけでも、定期的に測定する必要があるんじゃないですかと。

ところが、驚いたことに町はそんな気はまったくないんですね。「町民が安全で安心して生活」できるように心を砕いているはずの町長がまったくやる気がない。


○9番(熊坂徹君)

鉛についてだけ追加して、町独自の判断、考えに基づいて、当然トップの判断ということになると思うんですが、愛川町としてやるお考えがありますか。

○町長(山田登美夫君)

、、、、したがって、先ほどお話ししましたとおり年1回の検査を実施してまいりたいと思っております。


これですからね。わが町のトップは。まったくやる気がない。
しかし、鉛の検査といっても別に難しいことじゃないんです。毎月、電気伝導度や塩素イオンは測っているわけですから、そのときに一緒に「鉛」も検査してもらえばいいんです。費用だっていくらもかからない。


○環境課長(細野洋一君)

鉛だけを追加した場合、費用的にどれだけかかるか。鉛の単価につきましては、 1検体当たり5400円ということであります。


*2000円〜3000円でやってくれる業者だってあります。

<その5> 鉛が出れば、「最善の工法」も変わる

「鉛」が出たら町長の言う「最善の工法」も変えなきゃならない。「鉛」は出ない、環境基準はすべてクリア−しているという「前提」の上に立った「最善の工法」なんですから。


○9番(熊坂徹君)

もしそのときに鉛が出たとしたら、これは考え方の枠組みそのものを変えなければいけないんですね。この辺、コンサルの方はそれなりの説明をされましたけれども、町としてその点について、将来のリスク管理も含めてどういう判断をされたのか。その点についてお伺いをいたします

○環境経済部長(井上浄二君)

鉛が出ていれば、確かに枠組みを変える必要があったと思います。しかし、再調査の結果、基準値以下であるということでありますので、現状では鉛基準値以下の中での工法と決定したということであります。



○環境経済部長(井上浄二君)

地下水の検査の中で鉛が基準値を超えていれば、遮水壁を上流に打つ、あるいは周りに打つ、あるいは下流に打って水処理をする、そういうことも必要と思います。


*ところが、国に出した計画書では、「志田残灰処分地では、その影響と考えられる塩化物イオンと窒素類が検出され、重金属類は鉛が1地点で1回限りではあるものの環境基準値を超えた。」と正直に書かれています。

つまり、測り方が間違っていたとは書いてないのです。やはり、鉛が出たのです。1地点で1回限りであっても鉛が明らかに基準値を超えていたのです。

それをもう一度測ったら出なかったから、もう、いいんだ。鉛は問題なしとしてしまっていいのでしょうか。鉛については継続して調査するのが、自治体としての責任ある態度ではなかったでしょうか。


*実は、鉛が環境基準を超えて検出されたのは、すでに基礎調査報告書が出された後だったのです。しかも、基礎調査をしたコンサル会社ではなく、町に委託された別の会社が行った水質調査で基準を超えた鉛が検出されたのです。

コンサル会社は、その会社の測定方法が正しくなかったから、そういう結果が出たというような説明をしていましたが、町が国に提出した計画書(後に掲載)の内容を読めば、鉛は出て当たり前、出るのが当然、という印象を受けます。

しかも、この計画書をまとめたのも同じコンサル会社ですから、何を信じたらいいかわからなくなってしまいます。

<その6> 重金属「鉛」の恐ろしさ

鉛というのは神経系統に強く作用します。最近、よくADHDといわれる多動性のお子さんですか、そういう子供さんが非常に増えていますが、重金属、特に鉛による影響が専門家の間では言われているんですね。ごくごく微量であっても、神経を侵してしまいますので、注意しなくてはいけません。

鉛について、もう少し詳しく知りたい方には、渡部和男さんの素敵なHPがあります。素人の私たちにもわかりやすく説明してくれているのがうれしい。

鉛 神経系への猛毒物質
http://www2.sala.or.jp/~bandaikw/child/metal/lead.htm


*参考資料 : 愛川町美化プラント 固化灰 計量証明書
 焼却灰の中には、圧倒的に「鉛」が多く含まれているのがわかる。


計量証明書
資料名 愛川町美化プラント 固化灰
採取年月日 平成8年7月16日
計量の対象 含有量試験値(mg/kg)
アルキル水銀 0.005未満
総水銀 0.038
カドミウム 2.0
5.7×100
有機リン 0.5未満
六価クロム 0.6未満
ひ素 0.20未満
シアン 0.13未満
PCB 0.02未満
セレン 0.20未満


<その7> いま出なくても、将来出る可能性が高い!

というのは、塩素イオン濃度と電気伝導度の値が高いからです。塩素イオン濃度は、志田処分場の下流側の井戸で300mg/Lを超える値が観測されていて、これは水道水基準値の200mg/Lを超える値となっている。

塩素イオンというのは水に溶けやすいですから、金属が出てくる前に出てくる。金属は水に溶けにくいですから、当然、鉛などは後から出てきます。

つまり、塩素イオン濃度が高いということは、当然その後には重金属、鉛とかカドミウムが出てくるという先触れなんですね。

その考え方に立てば、今環境基準をクリアしているからいいということにはならない。ましてや1回測って出なかったからいいという結末のつけ方は、科学的ではありません。

愛川町が国に提出した計画書から引用

志田残灰処分地では、その影響と考えられる塩化物イオンと窒素類が検出され、重金属類は鉛が1地点で1回限りではあるものの環境基準値を超えた。したがって、既に浸透水の影響が地下水に及び始めていると考えられ、将来対策なしに放置しておけば、鉛以外の重金属類による地下水汚染が明瞭に現れる危険性がある。

埋立地底部の浸透水が地下水に達するまでは、最短でも約3.2年を要する。したがって、埋め立て終了間際の廃棄物に含まれる塩化物イオンなどは、ようやく地下水に到達したばかりか、達していない状況にあるといえる。

また、重金属類の浸透速度を塩化物イオンの1/10と仮定すると、焼却残渣に含まれる重金属類の影響は、ようやく現れたばかりと考えられ、今後より強く影響が現れる可能性が高いといえる。


<注>塩素イオン濃度と電気伝導度

塩素は、食品や工業製品に多く含まれていて、ごみの焼却炉で燃やされると、水に溶けやすい形になって灰の中に残ります。処分場に降った雨に溶けて塩素イオンとなります。

電気伝導度は、水の中に溶けているイオンが多いほど高くなります。不純物のない蒸留水は電気を通しませんが、汚れた水ほど電気を通しやすくなります。


<その8> 2年間といってもたった2回の水質調査

○9番(熊坂徹君)

あと2年間の水質検査は継続して行うというんですが、2年間で何回行うことになりますか。

○環境課長(細野洋一君)

水質検査のその後の任意の水質検査というお考えだと思いますけれども、1年に1回程度を考えているところです。


2年間といっても、年に1回しか検査しないので、合計でたった2回の水質調査ということになる。(これではいくら何でもひどいので、もう少し様子を見ることになりそう)

<その9> ほんとかな?

○9番(熊坂徹君)

それと遮水率に関してですが、やはりたくさん降るときもあれば余り降らない時期もある。例えば今みたいに梅雨のときはいつもしとしと降っていたり、場合によってはどばっと降るときもあるわけです。例えば1時間の降雨が50ミリとか100ミリになったときに、その辺のきちんとしたデータというのは、ちゃんとあるんでしょうか。この点について確認をさせてください。

○環境経済部長(井上浄二君)

ご質問の集中豪雨等異常な雨の場合、どうなるのかということでありますけれども、地中に浸透した雨水が飽和状態となれば、それ以上、雨水は浸透できないわけでありまして、すべて表面を流れていくということであります。


常識で考えてもこんなことはありえないですよね。いくら雨が降っても、地面にしみ込むのは最初の一定量だけで、あとはすべて表面を流れていくなんて。確かに、たくさん降ると地表を流れるようになりますが、やっぱり地下にだって浸透しています。

いくらキャピラリーバリアだって、条件によっては、全然役立たずになることがあるんです。そのことの認識が町にないとしたら、これは恐ろしいことです。そして、そういった認識のレベルで今回の工法が「最善」だと判断されたのだとしたら、もっと恐ろしい。

ちなみに、先ほど紹介したキャピラリーバリアのサイトを開いて見てください。条件を変えて行った実験の結果が写真で示されているはずです。降雨量だけでなく、勾配によっても浸透する水の量が変化することがよくわかると思います。

Water Resources Research 2000
http://www.aben.cornell.edu/faculty/walter/wrr00home.htm#MoreTop


<その10> 処分場の廃止基準を満たしていない!

実は、まだまだ問題があるのです。基準は水質だけじゃないんです。処分場を廃止するのにも基準があるのです。

ところで、町長が「最善の工法である」と折り紙をつけたにもかかわらず、今回の閉鎖事業は、国が定める「最終処分場の廃止基準」すら満たしていないとしたら、町民の皆さんはどう思うだろうか。

「町民が安全で安心して生活」できるようにと、オシッコやウンチに含まれる窒素について、あれほど国の環境基準にこだわった町長が、一番肝心の処分場の廃止基準については、心にも止めようとしないのはどうしてなんでしょうか。

ここで簡単に廃止基準について説明すると、処分場の廃止をする場合は、まず構造基準に適合していないとだめなのです。ただし、「調整池」や「浸出液処理設備」などは備えていなくてもいいとされていますが、埋立地からの浸出液による地下水の汚染を防止するために、遮水工を設けることとされています。

つまり、遮水工のない志田処分場については、この廃止基準を満たしていないことになります。

これについて、町は、愛川町の処分場については法律が適用される以前の施設だから、廃止基準を満たしていなくてもいいんだと言っています。廃止基準とそれにリンクした構造基準というのは、法適用施設に対するもので、本町の処分場には適用されないんだと。

しかし、法律が適用されようがされまいが、本町の処分場が国の最低の基準すら満足していないということ、そのことは紛れもない事実なわけです。

このことについて、私は議会で何度も追求しました。適正閉鎖というけど、国の基準を満足していないじゃないかと。ところが、町は、本町の処分場は法の適用を受けないから、国の基準は当てはまらない、国・県との協議の中で最善の方法を考えた、という答弁に終始しました。


○環境経済部長(井上浄二君)

これは国・県との協議の中で今の汚染状況調査の結果を踏まえて、こういう工事でよろしいでしょうということですので、現状の中で考えられる最善の方法であり、現状に合った構造基準はクリアしていると考えております。


そういうことなんですね。町が言う「最善の方法」と言うのは。しかし、ことばに騙されてはいけません。これまで検証してきたことからもわかるように、その最善の方法の中身というのは、国の最低基準すら満たしていない極めてお粗末な内容だということです。

これをみても町が言う「適正」閉鎖だとか、「最善の方法」だとかいうのが、いかに内容の乏しいものであるか、いかに実態とかけ離れたものであるかおわかりいただけたと思います。

*そもそも、なぜ処分場の問題が持ち上がったかといえば、法律に従ってつくった安全なはずの管理型処分場があちこちで事故を起こして、国が言うように決して安全ではないということがバレてしまったからです。(その代表的な例が東京の日の出処分場)

しかも、世の中は折からのダイオキシン騒動で、国民の目も厳しくなっていました。

法律による管理型処分場ですら危ないのに、ましてや、法律の適用を受けない処分場だったらもっと危ない。いくら法が適用されないからといっても、このままじゃまずいんじゃないのということで、それまで放置・黙認してきた愛川町のような処分場に対して、国がストップをかけてきたのが4年前です。

平成10年3月、旧厚生省は、突然、全国にある最終処分場の実態調査の結果を発表しました。その結果、538施設が不適切だとされ、本町でも志田と向原の処分場の名前があげられました。


<その11> 過去の経験から学ばない

今回のやり方・考え方を見ていると、町は過去の経験から何も学んでいないなという印象を強く持ちます。

町は、4年前、なぜ、「不適正処分場」だといわれたのか、そのことをもう一度考えてみる必要があります。

法が適用されようがされまいが、「不適正」であることには変わりがないはずです。構造的に不適正であるにもかかわらず、法の適用を受けないからいいと、そういうことでやってきて、最後に、「いつまでそんなことをやっているのか」と国からガツンと一発殴られたのが、4年前の出来事だったのじゃないんですか、町長さん。

そのときの教訓が生かされていますか、今回の閉鎖事業に。
生かされていないでしょう。。
法の適用を受けないからいいんだというのは、まったく同じじゃないですか、いままでの考え方と。
きっとまた同じ目に会いますよ、きっと。

<その12> 事例があるかどうかは不明、調査もしていない

○9番(熊坂徹君)

それで、最終処分場の閉鎖ですね。焼却灰等が埋まっている処分場の閉鎖事業の中で、周りを囲わないで対策工事を行った、そういう事例があったら教えていただきたいと思います。

○環境経済部長(井上浄二君)

先ほどちょっと申し上げましたけれども、538施設のうち今完了しているのが10数箇所と聞いておりまして、その10数箇所もどのような形で処分場の適正閉鎖事業を行ったのかというのは今把握しておりませんので、お答えいたしかねます。


ということは、志田の処分場みたいに焼却灰、当然ダイオキシンが含まれていますが、そういったものを埋め立てしてきた処分場に関して、周囲に遮水壁を、これは構造基準が要求しているわけですが、それを設けないで開鎖した事例があるかどうか、それすら確認することなく、町として「意思決定」したということなのでしょうか。

今完了しているのがたったの10数箇所だそうですから、調べるといってもそんなに難しくはないはずです。

念には念を入れよ、ということばがあるように、これだけ大規模な工事をやるわけですから、慎重の上にも慎重に事を運んでいただきたいと思います。後になって、まずかった、こんなはずではなかったでは済まされませんからね。

キャピラリーバリアにしても日本初なら、周りを遮水壁で囲わないで閉鎖する処分場もたぶん初めてなんでしょうから、用意周到、念には念を要れてほしいですね。


*向原の処分場についても、し尿の埋立地に「遮水壁」を設置して閉鎖した事例は、日本広しといえども、恐らく無いのではないか。

そして、これからもし尿の埋立地に「遮水壁」を設置して閉鎖しようなどという自治体は現れないのではないかと思う。


<その13> 町長の政治的な責任

○9番(熊坂徹君)

最後に一言、先ほどの臨時議会において町長は、 100%安全であると確信をしていると、こう答弁なされているんですが、埋まっている有害物質の中で、鉛が一番多いわけですよ。カドミウムとかそういうものの100倍から1,000倍以上の量が埋まっているわけですね。一番鉛が危険なんです。

もし、今後の測定の中で(鉛が)出てきてしまった、そして何らかの対策を町が新たに講じなければいけないということになったときに、 100%安全を確信していると議会で答弁された町長は、政治的な責任についてどのようにお考えか、この点について最後にお尋ねをしておきます。

○町長(山田登美夫君)

今まで数回となく水質検査をやってきております。そうした中で、水質検査の分析表を見た場合、現在の工事が一番妥当であるということでございます。


あれほど、地方分権の時代の流れについて語り、自己決定・自己責任を説く町長の答弁がこれであります。

トップとしての政治的な責任についてたずねたのに、返ってきた答弁がこれです。いくら何でもこれでは拍子抜けしてしまう。

現在の工事が妥当かどうかではなく、もし、妥当でないことが明らかになったとき、どうされますか、政治的な責任をお取りになりますかというのが、私が町長にたずねたこと。

答えにくい質問とは思いますが、本当に自信があるのなら、堂々と正面から自らの政治的責任について語ってほしかった。

しかし、こういった答弁しか返ってこなかったということが、逆に、今回の処分場閉鎖事業に対するトップの姿勢を如実に表しているとも言える。

呆れてしまう愛川町のトップの政治感覚

これまで、<その1>から<その13>まで、志田・向原処分場の閉鎖事業について検証してきたが、とても「最善の工法」などとは言えたものでなく、内容について調べれば調べるほど、町が何を考えているのか、ますますわからなくなってしまった。

まず、し尿を埋め立てた向原処分場の工事は、常識で考えても不要である。やっても効果がないし、税金のムダである。町民のみなさんも、これでやっと安心したなんて、誰も思わない。

問題は、志田の処分場である。町が国に提出した計画書からもわかるように、志田の処分場に対しては、将来を見据えたしっかりした対策が求められる。

ところが、わが町のトップの判断はまったく逆、必要性のない向原処分場にお金をかけて大規模な工事を行い、ダイオキシンや重金属が埋まっていて危険性が高く、すでにその影響が出始めているとされる志田の処分場には、キャピラリーバリアによる雨水対策のみで、廃止基準が要求している「遮水壁」の設置をしないというのでは、町民はとても安心などできない。これではトップとしての政治感覚そのものが疑われてしまう。

ましてや、これからの自治体財政はますます厳しくなる。いままで裕福と言われてきた愛川町とて例外ではない。それは以前、財政担当課長の職にあった町長自身がいちばんよくご存知のはず。

地方分権に名をかりて、いままで国や県が行っていた仕事がどんどん市町村にやってくる。しかも、仕事は来てもお金は来ない。税収は伸びないのに仕事ばかり増える、それがこれからの自治体の共通した悩みになる。

そんな厳しい状況の中で、どこの自治体も少しでもムダをなくそう、職員の数も減らして、人件費を抑えようと、必死になって行革に取り組んでいる。
なのに、愛川町では、何億もかかる事業が、徹底的な内容の吟味・精査が行われないまま、実施されようとしている。将来のリスク・不安をかかえたままで。

もし、何かあったらどうするつもりだろう。
(鉛に対する町の対応の仕方を見ても、将来が案じられる)
いったい誰がその責任をとるのだろうか。

<編集後記

今回は、志田・向原処分場の閉鎖事業について、少し詳しくレポ−トしてみました。というのも、この問題の中に、愛川町のトップの姿勢・考え方がよく表れているからです。愛川町の核心部分が浮き彫りになって見えているからです。それをぜひ皆さんにお知らせしたかったからです。そして、皆さんに一緒に考えてほしかった、私たちの町のことを。

処分場の閉鎖なんて、普段あまり考えることもないし、ましてや楽しいテ−マでもありません。きっと読んでくださらない人が多いと思います。それを乗り越えて、ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。

*山田町長には厳しい評価となってしまいましたが、これも町のトップとして、私の期待するところが大きいからです。

*皆さまのご意見・ご感想をお待ちしています。
 メ−ルでも結構ですし、すべて公開の掲示板もあります。
 多少辛口になっても、忌憚のない意見交換・議論をしていきましょう。