熊坂てつ 議会レポ−ト



2000年2月発行 第17号
<WEB版>
庁舎周辺核づくり事業
区画整理をあきらめ、新たなハコモノづくり

バブルの崩壊で地価が下落し、地権者の同意が得られず方向転換を迫られた町は、区画整理はあきらめたものの、せめて公共施設の集積だけでも図りたいと「庁舎周辺地区核づくり公共施設等整備構想」を12月23日に開かれた全員協議会に提示しました。

この構想、図の通りですが、町の説明によれば、事業費は約60億円、20年の期間をかけて行うというものです。

当面、手狭で老朽化が進んでいる消防庁舎の建設に全力で取り組み、次に、住民からの要望の強い保健・福祉施設の建設を考えているそうです。

町からの資料によれば、保健・福祉関係の施設については、健康づくりのための総合的な保健サービス機能をそなえ、ひまわりの家やかえでの家、ありんこ作業所などを集中再配置し、心身障害者の授産施設や更生施設などを新しく設置するとともに、さらには高齢者生きがい作業所も併設することになっています。

また、教育文化施設については、現状ではスペース等に限界があるため、将来に対応したコンピュータや視聴覚機器などの情報提供機能や科学に関する知識の普及を含めた図書館と青少年施設の複合施設をつくることになっています。

このほかにも、図にはのっていませんが、総合医療施設や郵便局などを誘致することも検討されているようです。

以上が構想のあらましですが、実はこの資料、議会の全員協議会に出される1週間ほど前に、庁舎周辺核づくり事業推進委員会が突然開かれ、まず、そこで説明がされたということです。しかも、初めて開かれたその第一回目の委員会で、町長の話では、何と「ご承認」いただいてしまったそうです。

いくら何でも、町の将来を左右するこういった重要な構想が、たった一度の会議で、いとも簡単に「ご承認」されてしまっていいのでしょうか。疑問点もいくつかあります。

@一極集中、それとも地域分散?
これからはネットワーク社会です。公共施設も地域分散でフットワーク軽く、福祉サービスも身近な地域で受けられるのがベストです。こういったまちづくりの視点、必要ではないですか。

A本当に必要な施設なの?
はてさて、何十億もかかる施設が本当に必要なんでしょうかねぇ。よお〜く、考えてからにしないと、後で金食い虫を抱え込むことになりますよ。まず、今ある施設の有効活用から考えるのが先じゃないですか。

B情報の公開と住民参加
この核づくりに関しては、不確かな情報を公開して誤解が生じてもいけないので、計画が煮詰まった段階で、つまり、最終決定された段階でしか情報提供しないそうです。担当部長がはっきりそう言いました。ということは、私たち町民は、それまで何も知らされず蚊帳の外というわけです。そんなやり方はないですよね。もっと、情報を公開して、住民の意見をどんどん取り入れるのでなければ、いいものはできないと思います。




熊さん、八っつあんの

まちづくり談義

"誰のための公共事業か?"の巻



一同: 明けましておめでとうございます。
熊: ところで、去年は、幣山下平線の道路計画が話題になりましたね。

八:
そうそう、でも、そんな計画があるなんて全然知らなかった。
熊: それに、事業費が44億円だなんて、大変な金額ですね、ご隠居。
隠居: そうとも、大変な金額じゃ。県内には年間予算がそれ以下の町村だってたくさんある。
いまどきこんな大金をつぎ込んで、それも町単独でこんな道路をつくろうなんて考えているところはどこにもない。
八: 44億といってもピンときませんが。
隠居: そうか、44億ということはじゃ、町民一人当たりにすると、おぎゃあと生まれた赤ちゃんから100歳のお年寄りまで、一人約10万円ということになる。
しかも、一人当たりだから、3人家族なら30万、5人家族なら50万ということじゃ。
熊: おいらのとこは4人家族だから、40万円かぁその幣山下平線とかいう道路のために? どうも、納得いかないなぁ。
八: それだけのお金があれば、中学校の学校給食だってできるんじゃないですか。
熊: 老人ホームやケアセンターだってできますよね。これからは年寄りが増えるから、そういうことにもっと税金を使ってもらいですね。

隠居:
そのとおりじゃ。これからは何に税金を使うか皆でしっかり考えて決める時代じゃからのう。
八: でも、ご隠居。いくら反対しても、もう、決まってることだから、ダメなんでしょ?
熊: 総合計画や都市マスタープランにも位置づけられているって言ってますよ。
八: 議会も賛成してるんでしょ。この計画には。
隠居: 確かに、そういう言い方もできるかな。
熊: といいますと。
隠居: 実は、総合計画にかぎらず、行政がつくる計画というのは、その中の個々の事業をすべて議会がチェックし審議して議決しているわけではないのじゃよ。
八: へ〜え。そうなんですかい。
隠居: ふたりとも町の総合計画を見たことがあるかな。200ページもある厚い冊子で、それこそいろんな事業や施策がびっしり書いてある。さて、そこでじゃ、問題の幣山下平線がどんなふうに書かれているかと言えば、「推進します」と、ただそれだけじゃよ。

熊:
へえ〜っ、そんなもんですかい。あっしゃ、てっきり議会で何でも決めているのかと思ってたのに。
隠居: とんでもない。博物館がいい例じゃ。町長選挙のとき、実は30億かかるとわかって町中大騒ぎになったじゃろうが。
八: そうだったですね。
熊: いまどき、30億もかけて博物館だなんてとんでもないって、みんなが怒った。
隠居: だから、決まっているといっても、その程度の決まり方なんじゃよ。
八: じゃ、途中で計画を変えることもできますね。
隠居: もちろんじゃよ。
熊: でも、公共事業は走り出したら止まらない。
隠居: しかし、最終的に決めるは有権者の町民じゃよ。「決まっていた」はずの博物館計画にストップをかけたのは町民の怒りだったし、核づくりも地権者の反対で区画整理ができなくなってしまった。
八: まだ、あきらめるのは早いですね。
熊: ところで、こんな話があるんですが、ご隠居。
隠居: 何だい、熊さん。
熊: 愛川聖苑をつくるとき、棚沢の自治会から強い要望があったと言ってましたよね。
八: 協定書にもそう書いてあるとか。
隠居: 確かに、そう書いてある。だから、間違いないと誰しもそう思う。ところが、じゃ。
熊: 違うんですかい。

隠居:
そうじゃ。わしは、当時の関係者のところへ行って、直接確かめてみた。
すると、この道路計画のことを言い出したのは逆に町の方だってことがわかった。棚沢地区としては、バス路線の開通が悲願であり、当初からそのことを要望していたのじゃ。

ところが、そういうことなら、今町に幣山下平線の計画があるので、この道路ができて田代方面につながれば、バス路線の開通も可能性が高くなると、そういった説明を町の方から受けたので、それじゃあということで協定書に盛り込んだと、そういった説明をうけたのじゃよ。
八: へ〜え。じゃあ、まるっきり、逆じゃないですか。
熊: まさに、奇々怪々といったところですね。何だか、キツネに化かされているような気がしてきましたよ。
八: この道路については、環境問題が大きく新聞報道されましたね。



尾山耕地 (ここを道路が通る)

熊: そうそう。道路予定地で、神奈川県レッドデータブックで絶滅したとされていた昆虫が見つかったとか。
隠居: 絶滅危惧種の昆虫19種も確認されているようじゃ。
八: 尾山耕地なんて、ふだんあまり行くこともなく関心もなかったけど、実際に行ってみるとすごくいいところだね。こんなところがまだ愛川町に残されていたなんなんて、おどろきだ。
隠居: まさに町民の貴重な財産じゃよ。何としてでも、次の世代へ伝えなければ。借金ばかり子や孫に残したのでは恨まれるからのう。

熊:
それで、道路の方はどうなるんですか。これだけ貴重な自然が残されているということになれば。
八: 当然、ルートを変更するとか。
熊: あるいは、計画を一時中断して、もっと詳しい調査をするとか。
隠居: ところがじゃ。驚いたことに、ルートの変更は一切しない、予定通りそのまま計画を進めるというのが町の考えじゃ。
八: ええっ。そんな馬鹿な。
熊: せっかくの自然環境を壊してしまっていいんですか。一度、壊してしまったらもう元に戻りませんよ。
八: しかし、そんなにまでして道路をつくる必要があるんですかね。交通渋滞の解消といってもピンとこないんでやんすがねぇ。
隠居: まあ、それでなくても道路をつくる側はいろんな理由を持ち出すからのう。
議会での答弁でも、利便性の向上だの、広域道路へのアクセスだの、やれ産業経済道路だ、いや生活幹線道路だ、いや広域幹線道路として重要だとか、あるいは、愛川聖苑ができたので必要性が増してきたとかあんまりいろいろ説明されるので、逆に、本当のところどうなのか、わからなくなってしまったというのが実感じゃ。
熊: 本当はやっぱり、土建屋さんのため公共工事ということですかねぇ。

八:
幣山に産業廃棄物の工場ができるって話も聞いてますが。本当ですか。
隠居: まだ、できるって決まったわけじゃないが、かなり話が進んでいるようじゃのう。2万8千uというから、かなりの規模じゃ。何でも建築廃材やプラスチック、生ごみなどをリサイクルするらしい。
熊: 他にも山ジャリを採った跡地に何かできるとか、そんな話も聞いてますが。
隠居: ほほう。もうそんな話が広まっているのか。
八: 地権者説明会でもその話が出たとか。
隠居: はっきりとはわからんが、焼却灰のリサイクルプラントをつくりたいという業者もおるようじゃ。
熊: へえ〜っ。ダイオキシンがいっぱい入っている焼却灰の? 幣山下平線といったって、これじゃあ産廃道路になっちまうじゃねえですかい。
八: そうそう、このままじゃあ、「出会い、ふれあい、ゴミのまち」になっちまうって誰か言ってましたぜ、ご隠居。
隠居: 何せ、ほとんど人家がない所を通るからのう。まさに絶好の場所というわけじゃ。業者が注目するのも無理はない。
熊: まさか、産廃業者のために道路をつくってやるわけじゃないでしょうね、われわれの税金を使って。
八: どうやらこの道路、一筋縄じゃ行かなくなってまいりやしたね、ご隠居。
隠居: ううむ。(しばらく考えてから )じゃがのう、熊さん、八っつあん、うわさに惑わされてはいかん。どんなときでも、何が一番大事なことなのか、それを考えて行動しなさい。いいですか。くれぐれも大事なものを無くさんようにな。


12月議会での一般質問

1.入札制度の改善について
@新たに導入した低入札価格調査制度の運用状況はどうか
A工事希望型入札制度の検討状況について

2.幣山下平線について
@再び、事業の再評価、再検討について
A自然生態系の調査をどう行うのか
B行政の「説明責任」に対する考え方と具体的にそれをどう果たして行くのか

3.行政の情報化について
@基本的考え方、方針を打ち出すべきではないか
A横断的な研究クループの提案

町長答弁の要旨

1.入札制度の改善について

@ 10月と11月の2か月で、工事本数23本の内、調査対象工事は19本(82.6%)、平均の落札率は68.8%と15%以上も下がった。調査基準価格に対する差額は7,479万円であった。

A低入札価格調査制度を導入したばかりなので当面はそちらに全力を傾注する。

2.幣山下平線について

@本路線は広域的な重要な路線であるから、計画どおり進めたい。

A「神奈川県レッドデータ生物調査報告書」を企画した神奈川県に要請するとともに、町独自に分布調査を行う。

B公共事業実施者として効率的かつ効果的な公共事業を透明性をもって進めていることを町民の方々にも伝えるものである。公文書公開条例に基づき情報提供をするほか、町の広報紙などにより一般町民の方々にも周知をしたい。

3.行政の情報化について

@平成12年度以降において、総合的な行政情報化推進のあり方についての研究をして、本町の特性、実情に即した計画の策定を進めたい。

A平成10年度から自主研究グループ活動育成事業を実施しているが、今後、意欲ある職員の研究活動に対する支援体制の強化についても検討したい。

わたしのコメント

1.入札制度の改善について

@いままで、公共事業はいかに高い買い物をしていたかわかった。新しい制度の導入によって、たった2か月の間で7,000万円にも上る税金の節約ができた。

Aこういう腰の引けた答弁では落第である。希望型とセットで導入されてこそ効果があがると考えるべきなのに、何とかして指名制度を温存したいという気持ちが見え見えである。

2.幣山下平線について

@これでは答弁になっていない。客観的な費用便益分析やPI的な発想でもう一度計画を最初から考えなおすべきである。

A残念ながら県は調査機関ではない。裏づけのないピントはずれの答弁をしてしまった。また、何のための調査をするのか目的も不明確である。

Bいままで、この道路計画について、町から情報提供されたことはなかった。だから、道路計画そのものを知らない人が多い。知らせる努力がもっと必要だ。

3.行政の情報化について

@いまだに情報化の基本構想すらないというのは問題です。トップの号令で、全職員一丸となって取り組む気運と体制づくりが求められている。

A何か勘違いしているみたい。自主研究グループの活動は私も知っています。でも、たった2、3人で何ができると思いますか。もう、決定的に遅れてしまっているんですから、ここはトップの決断しかないじゃないですか。

ついに、愛川町でも情報公開制度がスタート!

知りたいことがあったら、まず、1階情報コーナーの窓口へ。担当の職員が親切に教えてくれます。
役場に行ったら一度のぞいてみてください。

固定資産税の評価替え

今年は固定資産税の評価替えの年です。縦覧は4月3日ごろから。今回からは、納得が行かなければ、比較的容易に不服申し立てができるようになりました。でも、その前に担当職員とじっくり話し合ってくださいね。