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最低保障年金制度の実現を求める請願への賛成討論
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請願第2号 最低保障年金制度の実現を求める請願について、賛成の立場で意見を申し上げます。
現在の公的年金制度は、一階部分として国民共通の「国民年金(基礎年金)」、二階部分として会社員や公務員などを対象に、賃金によって年金額が変わる「報酬比例部分」があります。
ところが、一階部分の国民年金、基礎年金の部分がガタガタになってしまって、制度そのものが国民に信頼されていない状況にあります。
国民年金については、社会保険方式をとっているにもかかわらず、納付率が極端に悪く、国民年金を「払っている人」は加入者全体の49%に過ぎません。納付率は66.3%ですが、それは免除制度が適用されている人が含まれていないからです。
いくら、相互扶助による社会保険制度といっても、実質、加入者の半分しか保険料を払っていない制度など、すでに制度として破綻していると言わざるをえません。
そこで、破綻した年金制度にかわって、長期的に安定して、国民に信頼される、年金制度はどうあったらいいかという議論が、この間、ずっと続けられてきているわけです。いまの制度でいいとか、現状のままでいいとか言う人はひとりもいないです。
そこが議論の出発点、スタート・ラインだと思います。
ところが、請願が付託された委員会における議論は、どうもそういった基本的な認識が感じられませんでした。(私は委員ではないので、後で、委員会の録音テープを聞かせていただきました。)
当然、国民に信頼される、より良い年金制度を目指して、前向きな議論、建設的な議論をしなくちゃいけないのに、何か必死になって、ブレーキを踏んでいるような、そんな印象を受けました。
最低保障年金というけど、財源をどうするのかという意見や保険料を払わないのに、年金がもらえる制度は納得できない、不公平である、という意見にそのことがあらわれていました。
そこで、まず、受益と負担が原則なのに、払ってない人がもらうのはおかしい、という意見、考え方について、ですが、ちょっと、最低保障年金を社会保険制度と誤解されているのではないでしょうか。
いまの国民年金は、相互扶助の精神に基づき、保険料を払って給付を受ける制度なので、保険料を払わない人がもらうことはできません。それは、保険制度である以上、当然のことです。
しかし、最低保障年金というのは、いまの国民年金のような、社会保険制度ではありません。全額、国庫負担、つまり、税金ですから、特にそのために保険料を払う必要はありません。
というより、税ですから、逆に、誰もが何らかの形で払っているといった方がいいかも知れません。
なぜ、最低保障年金なのかといえば、現在の年金制度が破綻してしまっているからです。社会保障制度として機能していないからです。経団連会長のことばを借りれば、「満身創痍」の状態だそうであります。まさに、沈没寸前のタイタニック号と同じです。
現在の制度の最大の欠陥は、基礎年金である国民年金を社会保険方式にしたことにあります。しかも、それに公費・税金が投入されているにもかかわらず、年金受給のハードルが高すぎて、年金を受給できない人を大量に生み出しています。現在、公費は1/3ですが、2年後には、1/2に引き上げられます。
すると、年金を受給できない人は、この公費の部分も受給できませんから、ますます制度はいびつなものになってしまいます。ここの部分だけに関していえば、「払わないのにもらう」ではなくて、逆に、「払ったのにもらえない」ということになります。
ですから、保険料を払わないのに、年金がもらえるのはおかしい、不公平である、という意見に対しては、むしろ、逆に、税金を払っているのに、なぜ、基礎年金の国庫負担分がもらえないのか、これこそ不公平である、ということができると思います。
ましてや、ことは年金、社会保障制度に関することです。こんな不公平な制度であっていいはずがありません。
社会保険方式を維持するなら、税金を入れる必要はない。国民の老後を等しく保証するという皆年金なら、必然的に財源は全額、税になるというのが、多くの専門家の一致した意見です。
しかし、財源は全額、税だなんて、そんなお金がどこにあるのか、どこを探してもそんな財源・お金はない、というのが、もうひとつの反対の理由のようです。
この財源については、後でお話したいと思いますが、委員会では、また、あまり企業に負担を求めると、優良な企業が日本から出て行ってしまう、といったことも意見もありました。
しかし、年金制度に関しては、日本の経済界は、税方式による基礎年金がいいと言っています。税方式ですから、年金者組合が提案している、全額国庫負担による最低保障年金と、基本的な考え方は同じです。
少し前の新聞報道ですが、経団連の御手洗会長は「今の年金制度は満身創痍(そうい)で、国民の信頼がない。持続可能な制度を抜本的に議論すべきだ」と指摘。そのうえで「基礎年金は税金で賄うという税制と社会保障の一体改革を検討してほしい」と訴えたとあります。
ここで、経済団体のひとつ<経済同友会の案>をご紹介します。
年金について、公的年金はナショナル・ミニマムの保障に限定し、それを超える部分は、私的年金へと移行すべきである。高齢者の生活実態を十分考慮したうえで設定する必要最低限の水準を保障する基礎部分は、ナショナル・ミニマムとして公が責任を担う。対象者に確実かつ平等な給付を行う所得再分配として、社会全体での相互扶助と位置づけ、財源は税とすべきである。
具体的には、現行の基礎年金を廃止し、65 歳以上のすべての国民を対象に、公的な「新基礎年金」として月額7
万円を支給し、その財源は年金目的消費税とする。また、現行の厚生年金は清算する。民間金融機関が提供する私的な「新拠出型年金」へと移行し、企業は掛け金の半分を負担することを提案する。
このように、経済同友会も、もちろん日本経団連も、経済界は、みな全額税方式の基礎年金制度がいいと、足並みをそろえて、そう言っています。
委員会では、こういった経済界の動きについては、まったくと言っていいほど、話に出てきませんでした。しかし、これからの世の中の動きを考えるには、経済界の動きは無視できないと思いますし、また、そうした基本的な認識を欠いたまま、公的年金制度の在り方について議論することは、現実的でないばかりか、判断を誤る危険すらあります。
実は、財界だけでなく、労働者の側も、ずっと以前から、税方式による基礎年金をと言っています。
連合は、18歳以後、40年間、日本に居住した場合は、夫婦でそれぞれ7万円ずつ、2人で14万円がもらえる基礎年金と、それから、2階部分として、別途に、これは報酬比例年金の組み合わせを提案しています。
これは、請願の添付資料ですが、全国政令指定都市の市長会も、最低限の所得保障を行うため、無拠出で、一定の年齢に達したら受給できる最低年金制度の創設を提案していますし、
また、全国市長会も、将来に向けて持続可能な年金制度を構築するため、その在り方について、最低保障年金を含め国民的な議論を行い、適切な見直しを行うこと、とする内容の国民年金に関する要望を、国に提出しています。
なぜ、こうした要望を市長会が出すのかといえば、社会保障としての年金制度が破綻し、そのしわ寄せが地方自治体にきていることが背景にあります。というのも、政令市は生活保護費の1/2を、そして市は1/4を負担しているからです。生活保護の受給者が増えれば、そのまま自治体の財政負担が増えることになります。
幸い、本町は町なので生活保護費を負担する義務はありませんが、地方分権の行方によっては、町村も、いつ、生活保護費を負担するようになるか、かわからないと思います。社会保障に関しては、市町村ではなく、国がしっかり責任をもって行うべきだ、というのが市長会の言い分です。
ちなみに、日本では、生活保護受給者の47%が高齢者世帯だといわれています。ドイツでは、この割合が5%程度。他のサミット諸国でも、公的扶助の受給者のなかで、高齢者はごく少数です。なぜかといえば、他の先進国には、年金の最低額を保障する制度や、全額国庫負担の最低保障年金制度があり、高齢者が資力調査付の公的扶助に頼らないで生きていけるからです。
このように、経済界も労働者も、そして、自治体のくび長で構成する市長会も、さらには、民主党、社民党、共産党、など各政党も、いずれも、税による基礎年金制度を提案している、というのが、日本の現状であるということを、ぜひ、皆さんにも、ご認識いただきたいと思います。
また、これは、民間のシンクタンクですが、構想日本というのがあります。この構想日本が、「真のセーフティネットとしての新基礎年金制度の創設」を提案しています。もちろん、財源は、租税、つまり税金です。
なぜかといえば、諸外国における「皆年金」は、基本的には、居住要件で給付されるものであるが、これはその国で生活している限り、何らかの形で税を負担しているので、その見返りとして給付するという考え方に立つものであるとし、所得のある者にもない者にも、義務教育は等しく提供されているが、「皆年金」もこれと同じである。としています。
このように、世の中を見渡してみれば、税方式による基礎年金制度が主流となっています。なぜなら、制度として、シンプルかつ合理的だからです。だから、財界からも労働者皆からも支持されるのだと思います。
議員の皆さんの中には、最低保障年金なんか、とんでもない、といわれる方もいらっしゃるようですが、そうした固定観念にとらわれないで、しっかりと世の中の動き、現実に目を開いていただいて、この際、最低保障年金に対する考えを改めていただけたらと思います。
もちろん、財源をどうするか、という問題はあります。財源には、消費税を充てるというのが、多く聞かれる意見ですが、年金者組合から出された請願には、財源のことは、何も触れられていません。
ただ、請願に添付された資料を見ると、消費税を値上げしなくても、現状のままで、財源の見直しを行えば、十分財源は確保できる、というお考えのようです。確かに、理論的には、そういった考えも可能かと思いますが、現実的には、かなり難しい、と私は思います。
やっぱり、財源は、消費税ということになるのではないでしょうか。
ここに、12月10日付けの読売新聞の記事があります。消費税の社会保障目的税化、税制改正大綱へ明記という見出しで、「自民党税制調査会は10日、消費税を年金、医療などの社会保障のためだけに使うことを、13日にまとめる2008年度与党税制改正大綱に盛り込む方向で調整に入った」とあります。
これまで、自民党は、最低保障年金には消極的でしたが、将来的には、税方式による基礎年金制度に、舵を切ることは十分考えられます。問題は、いつ、どのタイミングで、行うかです。
財源というのは、どこかにあるとかないといった問題ではなく、結局、誰がどれだけ負担するかという、問題なんだと思います。
なぜ、財源の議論が難しいかといえば、負担が増えて喜ぶ人はいないからです。くわえて、これまでがひど過ぎました。国民は、あまり政府を信用していません。
その証拠に、税金は取られるもの、という考えが、国民の間にしみ込んでいます。そして、それがまた、一層、財源の議論を難しくしています。
しかし、その一方で、ほとんどの国民が、老後が不安だと考えています。もし、信頼できる、安心できる制度をつくってくれるというのなら、そのための負担はしてもいいと、多くの国民が考えています。
つまり、財源の問題は、また、政治に対する国民の信頼の問題でもあるということです。政治が真に信頼できるものになれば、年金制度に対しても、必要な負担をきっと受け入れてくれると思います。
私は、消費税導入論者ではありませんが、参考までに、諸外国の消費税の現状について、お話しますと、25%と、デンマークやスウェーデンなど北欧諸国が高いのは、ご存知だと思いますが、皆さん、お隣の韓国の消費税、いくらかご存知ですか、10%です。それから、中国ですが、17%だそうです。消費税5%というのは、日本の他には、世界広しといえども台湾とシンガポールだけです。
国民の多くは、老後が心配で、そのために貯金をしていますが、それでも不安は拭い去れません。もし、信頼できる制度を構築し、国民の年金不信を払拭、拭い去ることができれば、老後も安心になり、それによって、いままで抑えていた消費も活発になり、経済全体への波及効果も期待できると思います。
ところで、消費税を基礎年金の財源にすることに関して、実は、私が心配していることがひとつあります。なぜ、経済界が消費税を主張しているかといえば、これまで厚生年金で払っていた事業者負担が軽くなるからです。
すくなくとも、基礎年金の部分については、消費税で負担することになれば、企業は、まったく負担しなくて済むことになります。一説によると、全体では、3兆円を超える額が、軽減されるといわれています。
できるだけ自分たちの負担を軽くしたい、というのが、実は、経団連など財界の本当の狙いなのです。そして、そのための最低保障年金であり、消費税なのです。
企業が自分たちの利益を追求することを、私は否定しませんが、少なくとも、企業である以上、同時に、自分たちの社会的責任もしっかりと果たしていただきたいと思います。
いつか、この年金騒動が終わったあとで、気がついたら、得したのは経団連など、企業だけだった、なんてことがないように、企業の社会的責任についても財源論の中で、しっかり位置づけ、例えば、連合が主張しているように、新たに社会保障税を導入して企業負担分を税として、年金制度の中に組み込むことも必要になると思います。
近い将来、政治が信頼を回復し、真に、国民のための新しい年金制度が誕生することを夢見て、請願に対する賛成討論といたします。
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