愛川町自治基本条例(案)の解説
提出者 小島総一郎
賛成者 鳥羽 清
山中 正樹
熊坂 徹

目次

前文
第1章 総則(第1条〜第3条)
第2章 まちづくりの基本原則(第4条〜第7条)
第3章 議会(第8条〜第14条)
第4章 執行機関(第15条〜第18条)
第5章 町政の運営(第19条〜第23条)
第6章 住民投票(第24条〜第25条)
第7章 情報共有のための制度(第26条〜第30条)
第8章 まちづくり活動への支援(第31条〜第32条)
第9章 援推進機関の設置(33条〜34条)
第10章 条例の検討及び見直し(第35条)
第11章 委任(第36条)
附則


私たちは、中津川を愛し、この町を「愛川」と呼んでいます。愛川町は、水と緑の町です。江戸時代から学問に熱心で、文化と伝統を育んできました。近年は、新しいものの見方や考え方をとり入れ、進取の精神で、町民自らが時代を切り拓く力を培ってきました。「町民力」のある町、それが愛川町です。

21世紀になり、地方分権が進み、まちづくりへの関心が高まっています。私たちは、この自然に恵まれた美しい町を、誰もが安心して暮らせる町、生きることが楽しいと感じることのできる町にしたいと願っています。

それはとりも直さず、まちづくりの主体である私たち町民が、「町民力」を発揮し、ともに力を合わせ、協力することによって、真の「住民自治」を実現することでもあります。

ここに私たちは、町の自治の基本となる理念を明らかにし、新しい自治のしくみを「愛川町自治基本条例」として定めます。


【解説】
○前文では、本条例制定に当たっての背景や基本的な考え方を述べています。

○本町には、町の将来ビジョンを定めた第4次総合計画(ゆめ愛川2010)がありますが、ここではそうした行政計画には触れず、町民の多くが抱く素朴な願いを「誰もが安心して暮らせる町、生きることが楽しいと感じることのできる町」と表現し、まちづくりの究極の目標としました。

○「町民力」とは、本町の文化と伝統、進取の精神、そして国際色豊かな住民構成など、本町のもつ多様性とその可能性をいいます。

○私たち町民は、ともに力を合わせ、協力して、真の「住民自治」を実現するという決意を述べています。



1章 総則

(目的)
第1条 この条例は、本町のまちづくりに関する基本的事項を定めることにより、町民誰もが楽しくまちづくりに参加し、安心して暮らせる地域社会を築くことを目的とする。

【解説】
〇まちづくりに関する基本的事項とは、自治の基本となる理念やそれを具体化するための自治のしくみを言います。

〇ポイントは、「町民誰もが楽しく」です。まちづくりに義務感や責任感も大切ですが、思わず誰もが参加したくなるような、そんなまちづくり活動であってはじめて「安心して暮らせる地域社会」を築くことができると思います。


(条例の位置付け)
第2条 この条例は、町政の基本事項について、町が定める最高規範であり、議会及び町は、新たに条例、規則等を定める場合は、この条例の趣旨を最大限尊重しなければならない。

【解説】
○法的には、個々の条例にその優劣はありませんが、この条例は本町のまちづくりに関する最も基本的な事項を定めるものです。その意味で、この条例は本町の憲法(基本法)とも言うことができます。

〇しかし、条文に位置付けただけでは不十分です。町民の皆さんにわが町の憲法として認められるためには、この条例がまちづくりの中で生かされ、町民の皆さんに評価され、憲法として認められることが大切です。

〇そういった意味で、議会及び町が、新たに条例、規則等を定める場合は、この条例の趣旨を最大限尊重するというのは、この条例をまちづくりの中で生かしていくことに他なりません。


(定義)
第3条 この条例において「まちづくり」とは、以下の活動をいう。
1. 町が行う行政活動
2. 地域における自主的なコミュニティ活動
3. ボランティアやNPO等の公益的活動
4. 三者が協力して行う活動


【解説】
〇「まちづくり」とは、これまで主に都市基盤や公共施設などハード面での整備の意味でつかわれてきました。しかし、いくらハード面での整備が行われても、それだけでは暮らしやすい町にはなりません。むしろ、これからの「まちづくり」はソフト面に力を入れて行く必要があります。暮らしやすい町とは、人と人の豊かなつながりがある町です。

〇どこの地域にも昔から住民の自治的な活動があります。地域の課題は、その解決策も含めて、そこに住む地域の人がいちばん良く知っています。

〇地域には地域の特性があり、地域の課題解決は、行政の画一的なやり方ではうまくいきません。両者がその責任と役割を自覚し、互いに協力して取り組むことが大切です。もちろん、基本はあくまでも住民による「自治」です。

〇本条例においては、自治会やPTAなどといった地域でのコミュニティ活動、あるいは福祉や文化・環境の分野でのボランティアやNPO等の公益的活動も「まちづくり」として位置付けました。

〇また、三者が協力して行う活動も「まちづくり」として位置付けました。これからは、まちづくりの基本理念に基づき、それぞれが協力。共同して行うまちづくりが一層重要になります。第6条(協働の原則)

〇「まちづくり」を「自治運営」という言い方もありますが、「自治運営」というのは行政用語であり、「まちづくり」の方がイメージとしても「いい町にしよう」「住みよい町にしよう」という感情が自ずと生まれてくると思います。(PC意見)



第2章 まちづくりの基本原則

(参加の原則)
第4条 まちづくりは、町の政策、施策及び事務事業(以下「政策等」という。)の立案、実施並びに評価のそれぞれの過程において、町民の参加を得ながら進めていくことを基本とする。


【解説】
〇まちづくりの主体は私たち町民です。愛川町のよさを活かしたまちづくりを実現するためには、その主体である私たち町民の意思をまちづくりに反映させることが重要です。

〇そのため、町が行う仕事のそれぞれの過程において、町民の参加を得ながら進めていくことを基本とすると定めました。

<用語の解説>
「政策」とは、大きな視点から、目指すべき方向や目的を示したものという意味です。例えば「福祉」「環境」「産業」「教育」「文化」といった大きな視点からまちづくりの方向性を表現したものです。

「施策」とは、政策という大きな目的を達成するための個々の方策です。例えば「子育て支援」や「町道の整備」など、政策目的を実現するための手段と位置づけられます。

「事務事業」とは、行政が日々行っている仕事そのもので、「かえでっこのつどい」や町道何号線の舗装工事など、目に見える業務のことです。そして個々の事務事業は、施策の目的を実現する手段として位置付けられます。


〇町の仕事は、おおむねこれら政策・施策・事務事業の3 段階に分けられます。これらの3段階の仕事を対象として、企画・立案の段階から町民の提案や意見を反映させ、実施の段階では、町と町民が協力し、仕事が終了した後の評価についても、町民の意見を反映させることが基本となります。

〇「町民」については、町民参加の対象となる施策や事業の内容によってその範囲が変わり、限定的,例示的に示すことは困難であることから、町民の定義はしないこととしました。

〇また、「町民」はいわゆる「住民」に限定されるものではなく、法人や団体も含みます。法人も含めたのは、まちづくりには町内の企業や学校、そこに通勤・通学する人たちの協力も必要となるからです。


(情報共有の原則)
第5条 まちづくりは、わたしたち町民、議会及び町がまちづくりに関する情報を共有しながら進めていくことを基本とする。


【解説】
○わたしたち町民が、自ら考え、行動するためには、まちづくりに関する情報が十分に提供され、説明されることが不可欠です。情報なくして参加はありません。

〇また、「情報を共有」するためには、議会や町が一方的に情報の公開や提供を行うだけでは不十分です。議会や町から町民へ、そして町民から議会や町へという双方向の情報の流れがなくてはなりません。

〇まちづくりに関する情報は、わたしたち町民と議会及び町の共有財産です。

〇そして、「情報の共有」をベースにして、それをさらに「共通の認識」へと高めていくことが、より良いまちづくり活動へとつながります。


(協働の原則)
第6条 まちづくりは、わたしたち町民、議会及び町がそれぞれの果たすべき責任と役割を分担し、互に協力して進めていくことを基本とする。


【解説】
○「情報」の共有から「行動」の共有へ、それがまちづくりの自然な流れです。わたしたち町民、議会及び町が力を合わせ「協働」してこそ、より良いまちづくりができます。また、それがまちづくりの基本でもあります。


(町民の権利と責務)
第7条 わたしたち町民は、まちづくりの主体であり、まちづくりに参加する権利を有する。
2 わたしたち町民は、まちづくりの基本理念にのっとり、互いの権利を認め合い、相互に協力するよう努めなければならない。


【解説】
○本条では、わたしたち町民がまちづくりの主体であることを明確に位置付けるとともに、まちづくりに参加する権利を有すると規定しました。

〇まちづくりへの参加は権利であって、義務ではありません。

〇また、お互いの権利を認め合い、それぞれに果たすべき責任と役割を自覚して協力することが大切です。



第3章 議会

(議事機関)
第8条 議会は、町民の信託を受けた議事機関として、町民の意思を尊重し、条例・予算等の議決をとおし、まちづくりに関する重要な政策を決定するものとする。


【解説】
○本条例において、二元代表制の一翼を占める議会の規定は欠かせません。地方分権が進めば、自己決定・自己責任に基づく自治体の運営が求められ、意思決定機関である議会の責任と役割はますます重要になります。

〇こうした状況を考えると、本条例において、ただ単に議会の責務を規定するだけでは十分とは言えません。執行機関と同様に、議会の位置付けを明確にする必要があります。

〇町民の信託に基づく議会は、主権者である町民の意思を尊重し、「まちづくりに関する重要な政策を決定する」としました。


(調査及び監視)
第9条 議会は、町長等の執行機関との緊張関係を維持しつつ、町政が適切に運営されているか調査及び監視するものとする。

【解説】
〇地方自治の制度は、国と異なり、首長と議会による二元代表制をとっています。これは、「共に住民の代表機関である議会と長が、相互の牽制と均衡により、民意を反映した政治・行政が行われることを期待するシステム」であるといえます。

〇ところが、この二元代表制が機能していない、議会のチェック機能が麻痺しているという厳しい指摘があります。(官官接待や食糧費の不正を暴いたのは議会ではなく市民オンブズマンであった。)

〇この制度を機能させるため、議会は、常に町長等の執行機関に対して、緊張関係を維持しなければなりません。


(政策の立案等)
第10条 議会は、まちづくりに関する政策の立案及び条例の策定に積極的に努めなければならない。
2 前項の趣旨を実現するため、議会は、まちづくりの施策の調査、検討を積極的に行うとともに、町民との情報・意見の交換に努めなければならない。


【解説】
〇地方分権の推進により、議会が審議の対象とする分野が増大し、条例制定の権限も拡大しました。また、議員の議案提出の要件も議員定数の8分の1から12分の1に緩和されました。(自治法112条2項、115条の2)

〇分権時代は「条例の時代」であるといわれます。これからは、まちづくりの独自政策の柱となる条例をめぐって、首長とともにまた議会も条例の策定に積極的に関わらなくてはなりません。

〇議会が条例等の立法(議員立法)を行う場合には、町民の意思を反映させるため、町民との情報・意見の交換を十分に行う必要があります。

〇行政が住民参加を進めるのと同様に、議会もまた独自の視点から住民参加を進め、政策づくりや行政のチェックに住民の声を反映させる「しくみ」をつくる必要があります。

<参考> 三重県議会では、「議会に対する政策提案の受付」を制度化しています。


(組織体制の整備)
第11条 前条の目的を達成するため、議会は、自立的な組織体制を整備しなければならない。

【解説】
〇政策の立案や条例の策定など、分権時代の議会に求められる役割・機能を果たしていくためには、議会がそうした活動を自立して行うことができる組織体制を整えなくてはなりません。わけても調査機能の強化と政策法務を支援する職員体制の整備が急務です。


(情報の共有)
第12条 議会は、議会活動に関する情報を町民に分かりやすく説明し、提供することによって、町民との情報の共有に努めなければならない。

【解説】
〇愛川町議会は各定例会ごとに議会だよりを発行し、また、会議録をホームページで公開するなど、議会情報の提供に努めていますが、町民との情報の共有のためには、より一層の工夫が必要です。

〇現在、議会の一般質問は有線放送により提供されていますが、今後はインターネットによる議会中継も検討する必要があります。

〇情報の共有は一方通行であってはいけません。町民との間に双方向のコミュニケーションが成立する「しくみ」づくりが必要です。


(開かれた議会)
第13条 議会(本会議)の公開とあわせ、委員会その他の会議も原則公開とする。
2 議会は、その運営にあたり、真に町民に開かれたものとなるよう努めなければならない。
3 議会は、町民からの請願・陳情等に対して、提出者がその趣旨や意見を表明する機会を保障しなければならない。 


【解説】
〇開かれた議会とは、町民に分かりやすく、町民が参加しやすい議会です。しかし、町民の側から見た現状は、決して十分開かれたものにはなっていません。「真に町民に開かれた」議会になるためには、まず、町民の声に耳を傾けることが必要です。(議会モニター制度の導入など)

〇委員会で町民が意見を述べるには、公聴会や参考人の制度などがあります。しかし、手続き等が煩雑なため、ほとんど利用されていないのが現状です。

〇請願や陳情の提出者は、審議される委員会を傍聴することはできますが、意見を言うことはできません。しかし、一旦委員会を休憩して提出者(傍聴者)の意見を聞くことは可能です。また、参考人制度を弾力的に運用することもできないことではありません。どのように制度として意見表明の機会を保障するかは今後の課題ですが、これが「真に町民に開かれた」議会へ向かう重要な第一歩であることにかわりはありません。


(議員の責務)
第14条 議員は、町民意思を反映した政策実現のため、政策提案能力及び審議能力の向上に努めなければならない。
2 議員は、町民の代表としての職責の重さを深く自覚し、高い見識と倫理観をもって行動しなければならない。

【解説】
〇分権時代における議員(議会)に求められるのは、地域における課題解決のための政策立案です。これからは一人一人の議員がそのことを自覚し、「政策提案能力及び審議能力の向上」に努めなければなりません。

〇第2項は、「政治倫理の確立に関する決議」から引用しました。



第4章 執行機関

(町の責務)
第15条 町は、この条例の基本理念にのっとり、適切かつ公正に町政の運営を行わなければならない。
2 町は、政策の立案、実施及び評価のそれぞれの過程において、その内容、手続等を町民にわかりやすく説明しなければならない。
3 町は、町民からの意見、要望、苦情等の申立てに対して、速やかに事実関係を調査し、誠実に応答しなければならない。


【解説】
〇第1項では、まちづくの基本原則(町民参加、情報共有そして協働の原則)に基づいて、適切かつ公正に町政の運営を行うことを町の責務として定めました。

〇第2項では、町の説明責任を規定しました。町は、わたしたち町民の信託を受けて仕事をしているのであり、わたしたち町民に仕事の内容をわかりやすく説明する義務があります。

〇とくに政策の立案においては、町は、その概要や策定スケジュール、町民参加の手法等を公表する必要があります。また、そのプロセスにおいて複数の案を示すことも大切で、自己の責任において選択する機会を町民に提供することは住民自治の拡充につながります。〇第3項では、町の応答義務を規定しました。町民から町に寄せられるのは意見や要望だけではありません。町への不満や苦情もあります。こうした町民の声に誠実に応えることが、ひいては町への信頼につながります。

〇本来であれば、いわゆるオンブズマンのような第三者機関を設置した方が、より公平で信頼できる対応が可能と思われますが、そうした議論が十分なされていない本町の現状をふまえ、条文に規定することは見送りました。

〇しかし、苦情への対応や不利益の救済については、自治の根本に関わる問題であり、第三者機関の設置もふくめ、しくみづくりを検討していく必要があります。


(町長の責務)
第16条 町長は、町民の信託に応え、誠実かつ公正に職務の遂行に努めなければならない。

【解説】
○町政は町民からの「信託」に基づくものであることから、町長は、執行機関の代表者として、誠実かつ公正に職務の遂行に努めなければならないとするものです。


(町長の在任期間)
第17条 町長の職に一人の者が長期間にわたって就くことによる弊害を防ぐため、町長の職にある者は、連続して3期を超えて在任することのないよう努めるものとする。

【解説】
〇本町においては、つい数年前まで、6期24年間の長きに渡って、町長の交代がありませんでした。その結果、長期在任に伴う弊害は避けられず、行政運営におけるマンネリ化、硬直化が進みました。

〇こうした反省の上に立ち、努力規定として、「町長の職にある者は、連続して3期を超えて在任することのないよう努めるものとする。」と定めました。

〇これはあくまでも「努力規定」であり、もし、3期を超える在職を禁止すれば公選法に触れる恐れがあります。

〇最近では、個別条例として多選自粛条例を制定する自治体も出てきました。(東京都杉並区、神奈川県川崎市、城山町、大分県中津市など)


(職員の責務)
第18条 職員は、町民本位の立場に立ち、誠実に職務を遂行するとともに、町民との協働に努めなければならない。

【解説】
〇「町民本位の立場」とは、その行使する権限が町民の信託に由来していることを自覚して行動することを意味します。

〇また、「町民との協働」とは、積極的に町民と連携してまちづくり取り組むことを意味します。

〇言い換えれば、「町民との協働」ができる職員とは、まちづくりへの町民の参加や町民との協働をコーディネートのできる職員であり、そのような職員を目指して努力することを定めています。



第5章 町政の運営

(基本構想等)
第19条 町は、この条例の基本理念にのっとり、基本構想及びこれを具体化するための計画(以下、「基本構想等」という。)を策定しなければならない。
2 基本構想等は、広く町民の参加を得て策定するものとする。
3 町は、基本構想等の策定、変更または廃止にあたっては、別に条例で定めるところにより、議会の議決による承認を得なければならない。
4 基本構想等は、新たな行政課題に対応できるよう、不断の検討が加えられなければならない。

【解説】
〇「基本構想」とは、地方自治法第2条第4項に定める基本構想を指します。また、その策定にあたっては、本条例の基本理念である町民参加と情報共有を基本とします。

〇第3項は、これまで基本構想のみが議会の議決事項とされていましたが、地方自治法第96条第2項に基づき、基本計画や他の基本的な計画も含めて、議決事項の拡大を図るものです。議決事項の対象等については、別に条例で定めることとします。


(財政運営)
第20条 町は、中長期的な財政計画を策定し、健全な財政運営を図らなければならない。
2 町は、予算及び決算に関する財政状況等を、町民に分かりやすく公表するよう努めなければならない。


【解説】
○第1項では、「中長期的な財政計画を策定し、健全な財政運営を図らなければならない。」と規定しました。財政基盤の強化とともに、財政の健全性を確保するためには、中長期的な財政計画を策定することが必要です。

〇第2項では、町の説明責任を果たすため、財政状況等を町民に分かりやすく公表すると規定しました。

〇そのための取り組みとしては、より具体的な予算説明資料やニセコ町の『もっと知りたいことしの仕事』(町民誰もが見てわかる予算説明書)などの情報提供が必要になります。


(予算編成)
第21条 町長は、予算編成にあたっては、基本構想等と行政評価との連動に努めなければならない。
2 町長は、予算編成にあたっては、広く町民の意見・要望を聞くよう努めなければならない。
3 町長は、前項の町民の意見・要望を予算に反映させるよう努めなければならない。

【解説】
○これまで予算編成においては、基本構想等との連動が図られてきましたが、基本構想等の達成度と行政評価の結果を反映させることがこれからの課題になります。

〇第2項では、予算編成においても町民の参加権を尊重することが大切であることを踏まえ、町長は、「広く町民の意見・要望を聞くよう努めなければならない。」としました。


(行政評価)
第22条 町は、効果的かつ効率的に町政を運営するため、町の実施する政策等の評価を行わなければならない。
2 町は、前項の評価の結果を公表するとともに、政策等に反映させなければならない。

【解説】
〇行政評価とは、「行政活動を一定の基準・視点にしたがって評価し、その結果を改善に結びつける手法」とされています。

〇行政は、これまで「計画し、予算を確保し、事業を実施する」ことには熱心でしたが、「結果を評価し、次の計画へ反映させる」ことにはあまり熱心ではありませんでした。

〇そこで、これまでの仕事のやり方を反省し、町の仕事の点検・評価を行い、町政の運営を「計画〜実施〜評価」のサイクルの中で行おうとするものです。

〇第2項では、町の説明責任と政策等への反映について規定しました。


(行政手続)
第23条 町は、行政の運営にあたっては、事務手続きの公正と透明性の確保を図るよう努めなくてはならない。
2 行政手続に関して必要な事項は、別に条例で定める。

【解説】
〇本条は、町が条例等に基づき行う処分、行政指導と町への届出に関して、その手続等を別に条例で規定する旨定めるものです。

〇本町では、平成9年に「行政手続条例」を制定しましたが、基本構想、財政運営、予算編成、行政評価、住民投票とともに、行政手続についても町政運営の基本事項に位置付けます。



第6章 住民投票

(住民投票)
第24条 町長は、本町に係る重要な事項について、直接、町民の意思を確認する必要がある場合は、住民投票を実施することができる。
2 住民投票の実施に関し必要な事項は、別に条例で定める。
3 町長及び議会は、住民投票の結果を尊重しなければならない。


【解説】
〇本町に係る重要な事項について、直接、町民の意思を問うことができる住民投票の制度について定めました。

〇町政の運営は、議会と首長による二元代表制(間接民主制)が基本ですが、町民がその意思を直接表明できる住民投票の制度化は、間接民主制を補完し、住民自治の充実を図る意味からも必要です。

〇第2項で、「実施に関し必要な事項は、別に条例で定める」としました。

〇投票に付すべき事項ごとにその都度議会に諮って制定することにするか、あるいは常設型の住民投票条例とするかは、議論のわかれるところです。しかし、住民投票についての議論が不十分なことから、ここでは「別に条例で定める」とのみ規定し、今後の議論に委ねることにしました。

○住民投票の結果については、法的な拘束力がないため、投票の結果を、町長及び議会は、「尊重しなければならない」としました。


(住民投票の請求及び発議)
第25条 町民及び議会は、本町に係る重要な事項について、町長に住民投票の実施を請求することができる。


【解説】
○町民及び議会は、「町長に住民投票の実施を請求することができる」としました。

〇この規定がなくても、町民は、地方自治法第74条による住民の条例制定改廃の請求(50分の1以上の署名を要する。)を利用して「住民投票条例」の制定を請求することができます。また、議会も同法第112条の議員の議案提出権に基づいて、住民投票条例を提案することができます。

〇しかし、町民、議会及び町(町長)が、ともに住民投票の請求及び発議ができることを条文に明記することは、住民自治の基本理念に照らしても必要であることから、この規定を設けました。



第7章 情報共有のための制度

(情報の公開及び提供)
第26条 町は、町民の知る権利を保障しなければならない。
2 町は、公正で開かれた町政を実現するため、別に条例で定めるところにより、町政に関する情報を積極的に公開し、及び提供しなければならない。
3 町は、情報の提供にあたっては、その内容が町民に理解されるよう努めなければならない。

【解説】
〇第1項では、自治の基本である「町民の知る権利」を保障しました。

〇第2項では、町政に関する情報の公開と提供について定めていますが、現在の「公文書公開条例」は、この自治基本条例の制定により、改定が必要になります。

〇情報の提供は、ただ提供すればいいのではなく、町民に理解されなくては意味がありません。そのため、町は、町民にわかりやすく、その内容が理解できるように工夫することが求められます。


(個人情報の保護)
第27条 町は、個人の権利及び利益が侵害されることのないように、別に条例で定めるところにより、個人情報を保護しなければならない。

【解説】
〇情報公開と表裏一体の関係にある個人情報の保護について定めるものです。本町には、平成11年3月に制定された個人情報保護条例があります。


(会議の公開)
第28条 町の審議会、審査会、その他の附属機関及びこれに類するもの(以下「審議会等」という。)の会議は、原則公開するものとする。

【解説】
〇ある政策について、どのような情報や案に基づき、どのように話し合いを行い、どのように決定していくのか、その過程を明らかにすることは町民参加を進めるうえで大切なことです。また、まちづくりの情報を共有するという意味からも、審議会等の会議の公開は不可欠です。こうした考えに基づき、会議の公開を制度化します。


(委員の公募)
第29条 町は、審議会等の委員には、公募の委員を加えるよう努めなければならない。


【解説】
○政策等の策定にあたっては、意思形成過程の段階から、わたしたち町民が参加して、一緒に考え、議論していくことが大切です。また、町民参加を進めるうえでも大きな意義があります。こうした考えに基づき、委員の公募を制度化します。

〇公募委員の採用については、現在も一部の会議で実施しています。しかし、会議への参加はわたしたち町民の重要な権利であり、町全体で統一したルールの下に進めていく必要があることから、本条例に定めるものです。


(パブリック・コメント手続)
第30条 町は、基本的な政策等を策定するときは,事前に案を公表し、町民の意見を求めなければならない。 
2 町は、前項の規定により提出された意見に対する町の考え方を公表しなければならない。
3 パブリック・コメント手続について必要な事項は、別に条例で定める。


【解説】
〇第1項では、「基本的な政策等を策定するときは」事前に案を公表し、町民の意見を求める、いわゆるパブリックコメント手続の実施を規定しました。

〇第2項は、提出された意見に対する町の考え方を公表することを義務づけました。ただ、町民の意見を聞くだけでなく、町は説明責任とともに応答責任案も果たすことが大切です。

〇パブリック・コメント手続について詳細に規定することは、本条例にそぐわないため、「必要な事項は、別に条例で定める」としました。



第8章 まちづくり活動への支援

(コミュニティ活動)
第31条 町は、地域コミュニティにおける町民の自主的・主体的なまちづくり活動に対して、必要な支援を行うことができる。

【解説】
〇「地域コミュニティにおける町民の自主的・主体的なまちづくり活動」とは、具体的には、地域における安全や防災、子育てや高齢者の介護といった地域福祉、ごみ・リサイクルや環境美化、青少年健全育成などのような活動を指します。

〇こうした活動は公益性があることから、「町は必要な支援を行うことができる」と規定しました。

〇また、こうした活動は、主に自治会や町内会などによって担われていますが、この他、準コミュニティ組織として子ども会やPTA、老人会、婦人会などの団体も含まれます。

〇町は、こうした団体の自主性を尊重するとともに、まちづくりのパートナーとして位置付け、協働していく必要があります。

〇また、これからの時代にあった新しい地域コミュニティのあり方についても摸索していく必要があります。住民自治を基本とし、地域の住民が地域の問題を自主的に解決し、住みよい・暮らしやすい地域づくりをより効果的に行うために、例えば、仮称)「地区まちづくり協議会」のような組織の検討も必要になると思われます。


(公益的活動)
第32条 町は、ボランティアやNPO等町民の主体的な公益的活動に対して、その自立を支援するとともに、活動しやすい環境の整備に努めなければならない。
2 町は、前項の公益的活動を支援するための拠点を整備するよう努めなければならない。

【解説】
○これまで行政の役割と考えられていた分野においても、特に、福祉や文化・環境の分野において、ボランティアやNPO等町民の主体的な活動が活発に行われるようになりました。

〇こうした活動は営利を目的とするものではなく、住みよい町、暮らしやすい町をつくるための「公益的」な活動として位置付けることができます。

〇しかし、ボランティアやNPO等は、決して豊かな資金や人材に恵まれているわけではありません。そこで、第1項では、こうした活動が自立して行えるよう町が支援することを定めました。

〇第2項では、支援するための拠点整備について規定しました。

〇公益的活動への支援の詳細については、本条例で規定するよりも、別に条例で定めた方がよいと考えます。

〇なぜなら、本町にはまだ認証されたNPO法人がなく、機が十分熟していないことと、公益的活動への支援をどうするかは、まさに住民参加のテーマであって、関係者・住民の参加を得ての条例づくりが本条例の趣旨にも合致しているからです。



第9章 推進機関の設置

(住民参加推進会議の設置)
第33条 この条例の適正な運用状況を審議するため、町長の附属機関として、愛川町住民参加推進会議(以下「推進会議」という。)を設置する。
2 推進会議の運営は、住民参加の趣旨に基づき、委員の自主性が尊重されなければならない。
3 推進会議は、次に掲げる事項を調査・審議し、報告書を町長に提出する。
(1) 住民参加の推進状況に関すること
(2) 住民参加の評価及び検証の結果に関すること
(3) 住民参加の新たな方法の調査及び研究に関すること
(4) この条例の改廃に関すること
(5) 住民参加の推進に関する基本的な事項
4 推進会議は、10人以内の委員で組織する。
5 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。  
6 委員は、2期を超えて連続して再任されることはできない。
7 前各項に定めるもののほか、推進会議に関し必要な事項は、別に規則で定める。

【解説】
〇愛川町住民参加推進会議(以下「推進会議」という。)は、本条例をより実効性のあるものとしていくため,本町の住民参加に関する基本的事項を調査・審議し、町長に報告するために設置するものです。

〇推進会議は町長の附属機関ですが、運営にあたっては、「住民参加の趣旨に基づき、委員の自主性が尊重されなければならない」と規定しました。よく言われる「事務局主導」であってはいけないということです。そのためには、事務局がではなく、委員ががんばらなくてはいけません。


(報告書の公表)
第34条 町長は、推進会議が提出した前条第3項の報告書に、町長の意見をつけ、これを公表しなければならない。


【解説】
〇推進会議の報告書は、そのまま公開するのではなく、それに町長が意見をつけ、町の考え方を示すことがさらに重要となります。



第10章 条例の検討及び見直し

第35条 町は、この条例の施行後4年を超えない期間に、この条例が所期の目的を達成しているかどうかを検討するものとする。
2 町は、前項の検討結果をふまえ、この条例の見直しを含めて必要な措置を講ずるものとする。


【解説】
○21世紀の変化のスピードが速い時代においては、本条例の検討及び見直し作業が必要です。

〇「条例の施行後4年を超えない期間」というのも、変化のスピードを意識してのことです。

〇第33条第3項(4)では、住民参加推進会議がこの条例の改廃に関する調査・報告をすると定めています。

〇北海道ニセコ町のまちづくり基本条例では、「この条例の検討及び見直し」の解説において、定期的に条例を見直しすることによって「育てる」ことが大切であると述べています。
<参考> ニセコ町まちづくり基本条例
【解説】(この条例の検討及び見直し)
・本条例は「育てる条例」として位置付ける。育てること(定期的な条例の見直し)は、時代経過による条例の形骸化を防止し、町民が本条例に関心を持ち続ける動機付けとなることである。更に、条例本来の機能(町民の権利保護)が期待されたとおり作用しているかどうか検証することができることなど、さまざまな機能を併せ持っている。



第11章 委任

第36条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

附則 この条例は、平成16 年 9 月 1 日 から施行する。