平成14年度行政課題調査研究報告書

財団法人 神奈川県市町村研修センター 平成15年1月発行

自治基本条例の制定について
愛川町をモデル都市とした実証的調査研究

*研究チームのメンバーは県内の市町村職員12人で構成>。
アドバイザーは、政策研究大学院大学 辻 琢也 助教授。
これは、去る2月12日に行われた第6回 愛川町(仮称)住民参加条例の制定に係る専門研究委員会で参考資料として配布されたものです。

*その中から、愛川町自治基本条例(案)の部分だけを抜粋してご紹介します。


愛川町自治基本条例(案)

目次

前文
第1章 総則(第1条〜第7条)
第2章 総合的・効果的な行政運営(第8条〜第12条)
第3章 情報公開・個人情報保護(第13条〜第16条)
第4章 パブリック・コメント手続(第17条〜第22条)
第5章 町民公益活動(第23条〜第25条)
第6章 都市づくり(第26条〜第31条)
第7章 町民参加推進会議(第32条)
附則

(前文)

私たちのまち愛川は、首都圏に位置しながら、清らかな川や山々のみどりなどの自然に恵まれ、人間性豊かな歴史・文化を創造しており、将来にわたり、こうした個性を活かし、真に住みよいまちでありつづけなければならない。

そのためには、地方分権の流れを的確にとらえ、「地域のことは地域の責任で決定する」ことを基本に、地方自治をさらに充実させる必要があり、地域の主権者である町民及び町がそれぞれの責任を認識し、相互に協力していかなければならない。

愛川町では、これまでも町政の運営に当たつては、町民の参加を得ながら進めてきたが、今後は、よリー層、町民との協働を深めていく必要がある。

このような認識に基づいて、愛川町におけるまちづくりの基本原則を明らかにするとともに、町民及ぴ町がよりよい関係の下、自主的かつ自立的なまちづくりを推進するため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)
第1条 この条例は、愛川町のよちづくりに関する基本原則を定めることにより、町民等の参加による開かれた町政の運営を図り、もつて自治の実現を推進することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 町民 本町の区域内に住所を有する者をいう。
(2) 町民等 前項に掲げる者のほか、次に掲げるものをいう。
ア 本町の区域内に事務所又は事業所を有するもの
イ 本町の区域内に存する事務所又は事業所に勤務する者
ウ 本町の区域内に存する学校等に在学する者
工 本町に係る権利又は義務を有するもの
(3) 町 町長(水道事業管理者の権限を行う町長を含む。)、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいう。
(4) まちづくり 町民等及び町によつて行われる本町の運営全般をいう。
(5) 都市づくり 総合的かつ計画的な土地利用の推進並びに市街地の整備、開発及び保全に係る事業をいう。

(参加の原則)
第3条 まちづくりは、町民等の意思を反映させるため、町の実施する政策、施策及び事
務事業(以下「政策等」という。)の策定、実施及び評価のそれぞれの過程において、町民等の参加を得ながら進めていくことを基本とする。

(情報共有の原則)
第4条 まちづくりは、町民等の参加による町政運営の推進を図るため、町民等と町がまちづくりに関する情報を共有しながら進めていくことを基本とする。

(町民等の権利及び責務)
第5条 町民等は、まちづくりの主体であり、まちづくりに参加する桂村を有する。
2 町民等は、まちづくりの活動をする場合は、自らの発言と行丑に責任を持たなければならない。

(議会の責務)
第6条 議会は、町民の代表として選ばれた議員によつて組織された本町における議決機関であることを認識し、町民の信頼に応えるため、議会の持つ権能を最大限発揮し活動しなければならない。
2 議会は、町政運営が常に適切かつ公正に行われているかを監視するとともに、公共の福祉の増進及び町政運営の円滑化に努めなければならない。
3 議会は、議会活動に関する情報を町民等に積極的に提供するよう努めなければならない。

(町の責務)
第7条 町は、まちづくりの基本原則にのつとり、適切かつ公正にまちづくりを推進しなければならない。
2 町は、町が実施する政策等の策定、実施及び評価のそれぞれの過程においてその内容、手続等を町民等に必要に応じて説明しなければならない。
3 町は、町民等の意見、要望等の申し立てに対して、必要に応じて速やかに事実関係を調査し、応答しなければならない。

第2章 総合的・効果的な行政運営

(基本構想等)
第8条 町は、総合的かつ計画的な町政運営を図るため、この条例の理念に即して基本構想を策定するとともに、その実現のため政策等を実施しなければならない。
2 町は、基本構想に即して、基本的な計画を策定しなければならない。

(効果的な財政運営)
第9条 町は、行政資源を効果的に活用し、最小の経費で最大の効果を挙げるよう財政運営を行うものとする。
2 町は、予算及び決算に関する財政状況等を、町民等に分かりやすく公表しなければならない。

(行政評価)
第10条 町は、適正かつ効率的な町政運営を推進するため、町が実施している政策等の評価を実施しなければならない。
2 町は、前項の評価の結果を公表するとともに、政策等に反映させなければならない。

(行政手続)
第11条 条例等に基づき町が行う処分及び行政指導並びに町に対する届出に関する手続について必要な事項は、別に条例で定める。

(住民投票)
第12条 町長は、本町に係る重要事項について、直接町民の意思を確認するために住民投票の制度を設けることができる。
2 住民投票の実施について必要な事項は、それぞれの事実に応し、別に条例で定める。

第3章 情報公開・個人情報保護

(情報の公開及び提供)
第13条 町は、町民等の参加による開かれた町政の実現のため、町の保有する情報を積極的に公開し、及び提供しなければならない。ただし、愛川町公文書公開条例(平成11年愛川町条例第1号。以下「公文書公開条例」という。)第6条第1項各号に掲げる事項にあつては、この限りでない。

(個人情報の保護)
第14条 町は、個人の権利及び利益が侵害されることのないように、個人情報の保護について必要な措置を講じなければならない。

(会議の公開等)
第15条 町の審議会、審査会、その他の附属機関及びこれに類するもの(以下「審議会等」という。)の会議は、法令及び条例等に特別の定めがあるものを除き、原則として公開するものとする。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、当該会議を公開しないことができる。
(1) 会議において、公文書公開条例第6条第1項各号の規定に該当する情報に関し審議する場合
(2) 会議を公開することにより、公正かつ円滑な審議が阻害されるおそれのある場合
2 町は、審議会等の会議を開催じようとするときは、会議名、開催日時、会場、傍聴人の定員、傍聴の方法その他必要な事項を事前に町民等に公表しなければならない。ただし、会議の開催が急を要する場合はこの限りでない。
3 町は、審議会等の会議を開催したときは、原則として議事録を作成し、町民等に公表しなければならない。

(委員の公募)
第16条 町は、審議会等の委員の選者に当たつては、公募の委員を加えるものとする。ただし、次の各号のいずれかに該当する審議会等についてはこの限りでない。
(1) 法令等で委員の資格要件が定められている審議会等
(2) 特定の個人、団体及び行政処分に関する審議会等
(3) 高度な専門的知識が要求される審議会等
(4) その他委員の公募になじまない審議会等
2 委員の公募に当たつては、審議会等の目的、募集人員、応募方法その他必要な事項を次に掲げる方法により周知するものとする。
(1) 広報誌への掲載
(2) ホームページヘの掲載
3 審議会等の公募による委員の資格は、原則として次に掲げるとおりとする。
(1) 町民
(2) 本町の他の審議会等の公募による委員でない者
(3) 本町の職員及び議員でない者

第4章 パブリック・コメント手続

(パブリック・コメント手続の実施)
第17条 町は、町民等の町政参加を促進し、町政運営の公正確保と透明性向上を図るとともに、町民等への説明責任を果たすため、基本的な政策等の策定に当たつては、パブリック・コメント手続を実施しなければならない。

(パブリック・コメント手続の対象)
第18条 パブリック・コメント手続の対象となる基本的な政策等の策定は、次に掲げるものとする。
(1) 次に掲げる条例の制定又は改廃に係る案の策定
ア 本町の基本的な制度を定める条例
イ 町民等に義務を課し、又はその権利を制限する条例(金銭徴収に関する条項を除く 。)
(2) 本町の基本構想及び基本的な計画の策定又は改定
(3) 前2号に該当しないものであつても、パブリックロコメント手続を実施することが望ましいもの
2 前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合は、パブリックロコメント手続を実施しないことができる。この場合において、町は、パブリック・コメント手続を実施しなかった理由を、速やかに公表しなければならない。
(1) 迅速若しくは緊急を要するもの又は軽微なもの
(2) 地方自治法(昭和22年法律第67号)第74条第1項の規定による直接請求により議会提出するもの

(政策等の案の公表)
第19条 町は、基本的な政策等の策定をしようとするときは、その意思決定前に相当の期間を設けて、政策等の案を公表しなければならない。
2 前項の規定により政策等の案を公表するときは、併せて次に掲げる資料を公表するものとする。
(1) 政策等の趣旨及び目的並びに政策等の案を作成した経緯
(2) 政策等の案を立案する際に整理した考え方及び論点
(3) 町民等が政策等の案を理解するために必要な関連資料
3 前2項の規定による公表は、町が指定する場所での間覧及び配布並びにインターネットを利用した閲覧の方法等により、行うものとする。

(パブリック・コメント手続の予告)
第20条 町は、前条の規定により政策等の案及び資料(以下「政策等の案等」という。)を公表する前に、次に掲げる事項を広報紙への掲載及びインターネットを利用した聞覧の方法等により、当該パブリック・コメント手続の実施を予告するものとする。
(1) 政策等の案の名称
(2) 政策等の案に係る意見及び情報(以下「意見等」という。)の提出期間
(3) 政策等の案等の入手方法

(意見等の提出)
第21条 町は、政策等の案等の公表の日から20日間以上の期間を設けて、意見等の提出を受けなければならない。この場合において、意見等の提出期間の満了の日は、前条の規定に基づく予告の日から30日以後としなければならない。
2 前項の意見等の提出方法は、次のとおりとする。
(1) 町が指定する場所への書面の持参
(2) 郵便
(3) ファクシミリ
(4) 電子メール
(5) その他必要と認める方法
3 意見等を提出しようとする町民等は、住所、氏名その他町民等であることを示す事項を明らかにしなければならない。

(意見等の考慮)
第22条 町は、前条の規定により提出された意見等を考慮して、政策等の策定の意思決定を行うものとする。
2 町は、パブリック・コメント手続を実施している案件の一覧表を作成し、提出された意見等の概要及び意見に対する町の考え方について、インターネットを利用した閲覧方法等により常時情報提供するものとする。

第5章 町民公益活動

(町民等及び町民公益活動団体との協働)
第23条 町は、町民公益活動のまちづくりに果たす役割を尊重し、町民等及び町民公益活動団体と協働してまちづくりを行わなければならない。

(町民公益活動の範囲)
第24条 前条に規定する町民公益活動とは、町民等の自主的かつ自立的に行われる、非営利で、公共の利益に寄与する活動をいう。ただし、次に掲げるものを除く。
(1) 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを目的とする活動
(2) 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを目的とする活動
(3) 特定の公職(公職選挙法(昭和25年法律第100号)第3条に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とする活動
(4) 公益を害するおそれのある活動

(町民公益活動の支援)
第25条 町は、町民公益活動団体に対し、その活動を推進するため、必要に応じて、予
算の範囲内で、財政的支援を行うことができる。
2 町は、前項に定めるもののほか、町民公益活動の推進のために必要な環境整備に努めるものとする。
3 町は、支援の公平性及び透明性を確保するため、支援の手続に関する書類等を一般の閲覧に供さなければならない。
4 前3項に規定するもののほか、支援に関し必要な事項は、別に定める。

第6章 都市づくり

(都市づくりの推進)
第26条 町は、良好な市街地を形成するために地区計画、建築協定等の手法を用いた都市緑化の促進、都市景観の形成、環境の保全等の都市づくりを推進するものとする。
2 町は、都市づくりに対する自主的な参加によつて行われる活動を推進するため、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(都市づくり推進地区の指定)
第27条 町は、良好な市街地の整備を推進するため、次の各号のいずれかに該当する地区において、都市づくり方針の策定が必要な地区を都市づくり推進地区(以下「推進地区」という。)として指定することができる。
(1) 基本構想等により、重点的な都市づくりを推進することが必要な地区
(2) 基本構想等により、市街化調整区域の中で重点的な都市づくりを推進することが必要な地区
(3) 現に市街地が形成されている地区で、市街地開発事業(都市計画法(昭和43年法律第100号)第12条に規定する市街地開発事業をいう。)等により市街地整備が必要な地区
2 町は、推進地区を指定したときは、速やかに、これを公表しなければならない。

(都市づくり推進団体)
第28条 町は、都市づくりに関する連絡調整その他都市づくりを総合的かつ計画的に推進することを目的とした団体又は個人で、次に掲げる要件を満たすものを都市づくり推進団体(以下「推進団体」という。)として登録することができる。
(1) 当該構成員が、町の都市づくりを行おうとするもの又は行うものであること。
(2) 当該団体の活動が、推進地区における年齢満20年以上の町民、土地又は建築物の所有者及び事務所又は事業所の経営者の3分の2以上の同意を得ていると認められていること。
2 前項の規定により、登録しようとする団体は、町長に申請しなければならない。

(都市づくり協定の締結)
第29条 町及び推進団体は、推進地区の都市づくりを推進するため、区域を定めて、都市づくりに関する協定(以下「協定」という。)を締結することができる。
2 町は、協定を締結したときは、速やかに、その旨及びその内容を公表しなければならない。
3 前項の規定は、協定を変更する場合について準用する。

(協定の連守)
第30条 前条の規定により締結された協定に係る地域内において、推進団体及び工事施行者は、協定の内容に従い、都市づくりを行わなければならない。
2 町は、推進団体及び工事施行者に対して、協定を遵守するよう指導しなければならない。
(都市づくり支援)
第31条 町は、都市づくりに対する自主的な参加によつて行われる活動を推進するため、推進団体に対し、都市づくりの専門家の派遣その他技術的支援を行うことができる。

第7章 町民参加推進会議

(町民参加推進会議の設置)
第32条 町長は、町民等の参加によるまちづくりに係る基本的事項等を調査協議するため、愛川町町民参加推進会議(以下「推進会議」という。)を置く。
2 推進会議は、次に掲げる事項を調査協議し、その結果を報告し、又は意見を建議する。
(1) 町民等の参加の推進状況の把握に関すること。
(2) 町民等の参加の検証及びその検証結果の公表に関すること。
(3) この条例の改正又は廃上に関すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、町民等の参加に関する基本的事項
3 推進会議は、委員10人以内をもって組織する。
4 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 委員は、 1回に限り再任されることができる。
6 前各項に定めるもののほか、推進会議に関し必要な事項は、別に規則で定める。

附 則

この条例は、平成16年4月1日から施行する。