平成12年12月 小倉英嗣議員 一般質問


観光開発と温泉について

(小倉英嗣君)

次に、観光開発と温泉についてであります。
 大正3年の夏、神奈川新聞社の前身であります横浜貿易新報社は県下の避暑12勝を決めるために県民投票を実施いたしました。その結果、1位は「鎌倉郡今泉不動」、2位は「愛甲郡愛川村半原」でありました。

続いて、昭和10年、横浜貿易新報社は創業45周年記念事業「県下名勝史跡45佳選」で中津川渓谷がトップ当選をいたしました。渓谷の名声を高めたのは、昭和25年10月に毎日新聞社が実施した「全国観光地100選」、渓谷の部で中津川渓谷が55万7,843票で全国4位に入選したことであります。

1位は山梨県の昇仙峡、2位は和歌山県の瀞峡、3位は宮崎県の高千穂峡でありました。竜王峡、耶馬渓、黒部峡、恵那峡を押さえての入選であり、関東の耶馬渓と高い評価を受けました。ちなみに、耶馬渓は6位でありました。

それまで全国的には無名に近かった中津川渓谷が一躍有名になりまして、観光客が全国各地から押し寄せました。昭和50年代の記録を見ますと、年間110万人を超える観光客が毎年訪れております。宿泊客が年間2万6,000人から8,000人、昭和51年度には日帰り、宿泊客合わせて116万1,784人でありました。

 中津川渓谷一の景勝地・石小屋の名は、長さ8メートル、高さ4メートルの巨石が4メートル四方、高さ1.5メートルの自然石の柱に支えられるような形で乗っており、四畳半ほどの空間をつくり出しておりまして、巨石が小屋の形をしていたことから、いつしか石小屋と言われるようになったといいます。

若いころの林家三平師匠が河原に集まった人たちを前に、こんな大きな舞台で落語をやるのは初めてと言って観光客を笑わせたというエピソードがございます。日本画の大家・東山魁夷画伯も芸大の仲間と訪れ、酒を飲み交わしたといいます。風光明媚な中津川渓谷もダムに沈んでしまいました。とても残念であります。

石小屋は愛川町の象徴であり、誇りでありました。石小屋の自然は四季を通して美しく、大きな財産であり、観光収入源でありました。全長4キロメートルの中津川渓谷を失ったことは、愛川町にとって取り返しのつかない大きな損失でありました。

昭和44年に中津川ダム建設構想が発表されますと、反対同盟が結成され、町を二分する反対運動が起きたことは記憶に新しい事実であります。ダム直下のまちは栄えないとのことが反対理由でありました。ことわざどおり、半原地区はかつての繁栄は見る影もなく、寂れる一方であります。

 私は、中津川渓谷にかわる新しい観光開発に積極的に取り組み、観光収入の道を図っていくべきであろうと思います。幸い、中津川渓谷に次ぐ景勝地・塩川滝が残っております。塩川滝入り口には塩川鉱泉で有名なランプの宿・滝乃屋旅館がありました。ここに温泉を掘って、河原に遊びに来る年間70万人の観光客、ダムに来る300万人の方に温泉を利用していただき、観光収入につなげていく必要があります。

 一方、高齢化社会を迎えるに当たり、特にお年寄りの皆さんに長寿をしていただくために温泉は必要であります。リハビリ効果も期待できます。結果として、医療費や介護費の軽減につながるものと思います。観光と福祉を両立できるわけであります。私は、最高の福祉は温泉であろうと思っております。早期実現に向けて積極的な取り組みをしていただきますようお願いいたします。

町長(相馬晴義君)

2点目の観光開発と温泉であります。
 ご案内のように本町は、宮ケ瀬ダムが建設さます前には、中津川上流の石小屋付近一帯を中津渓谷として、景観の美しさは観光客を魅了し、多くの方が訪れておりました。この渓谷を失ったことは痛手でありますが、中津渓谷と引きかえに、新たな宮ケ瀬ダムの完成によりまして、ダムをはじめ、宮ケ瀬湖でありますとかダム周辺の観光施設が整備されました。従前の中津渓谷にまさる新しい観光資源ができたわけでありまして、東京周辺や県内からも多くの方が訪れておりますし、また、これからもさらなる周辺整備によりまして観光開発が期待されるところであります。

 新しい観光資源としての温泉開発の考えでありますが、ご承知のように、全国各地で天然温泉を掘り当てて、地域の活性化や観光の目玉として入浴施設の整備を行い、日本人の温泉好きにあやかって温泉ブームを巻き起こし、温泉さえ湧出すれば地域の活性化が図られるというふうに言われております。

しかしながら、実態は、近年の景気低迷がもたらす税収減等によりまして地方自治体の財政運営は大変厳しい状況を強いられており、大方の地方自治体では温泉の施設についても採算が取れないで赤字補てんに一般財源を投入するような悩みがむしろ増えておると言われております。

 特に、天然温泉を掘り当てる場合には1,000メートル以上掘らなければならないので、掘る費用が大変多額にかかりますこと、毎分100リットル以上を取るためにはポンプ施設の維持費、配管やボイラー機器の維持費などのランニングコストが非常に多いこと、そしてまた温泉の湯の量が状況によって減ることがあるそうでありますが、そうした波あるいはまた枯れてしまうとか地震などがあった場合、その管路がどうなるか、変化がありはしないか等、多くの課題があるわけであります。

 したがいまして、町民の皆さんが天然温泉につかることによって健康保持・増進が図られ、憩いの場としての目的で整備することは大切なことであると理解しておりますが、こうした施設が当年度はいいのでありますが、次年度以降はほとんど町民の方ではなくて、税金投入がよその方のためになってしまうと。そして、特に公共施設となりますと最低料金で施設運営がされますから、もちろん赤字に転落すると、こういう状況であります。

 今、申し上げましたように、温泉施設の整備・維持・管理・運営に当たっては多くの課題がありますこと、したがいまして、町民の尊い税金を温泉開発に投資いたしますことは、現在において、先ほど来話が出ておりますように、ごみ対策の問題を含めて環境整備には多額の投資が必要になってまいります。

そしてまた下水道などを含めて、半原方面の下水道整備には、これも先ほど申し上げましたように多額の一般財源を割かなければならない状況でもあります。生活基盤整備、さらには教育、福祉、防災対策等、公共としてやらなければならない基本的な仕事を余りにも多く背負っておるわけでありますから、当面、本町のそうした行財政運営を考えますとき、温泉掘削について、また温泉管理については少し難しいのではないかと思うところであります。

 
(小倉英嗣君)

それから、温泉なんですけれども、この温泉問題につきましては愛川町との友好都市・立科町も2年前に掘られたということでありますけれども、人口8,900人の立科町では1,500メートルのところから40度の温泉がわいたということでございまして、年間利用客は25万人、2年間で50万人の方が利用されているということでございます。

町外の方が80%を占めているようでありますけれども、これは大きな収入源になっているのではないかなと思います。1日当たり800人という数のようであります。

施設の中には障害者専用の浴室も設けられておりまして、そういう温泉が愛川町にもあったらいいなと感じたわけであります。百畳敷きの大広間も見てまいりましたけれども、これも増築しなければならないというお話もございました。温泉効果が評価されまして大変な人気がございます。

病院からも紹介されまして、患者の方も温泉によく来られるということも聞いております。愛川町にもぜひ温泉をつくっていただきたいということを強く願っているところであります。

 何点かについて答弁をお願いしたいと思いますけれども、時間の方も大分少なくなってきております。簡潔で結構ですので、よろしくお願いいたします。