愛川町が"憲法"づくり
2004年春の施行目指す
 自治体の”憲法”といわれる「自治基本条例」の制定に向けた愛川町の取り組みが始まっている。キーワードは「住民参加」。今後二年間かけて検討を重ね、二〇〇四年四月の施行を目指す。県内では川崎、大和市などが策定の意向を持っているが、現時点で制定例はなく、全国的にも珍しい試み。加えて同町では、町づくりに住民のアイデアを募るなど新事業の展開も同時に模索している。

町の「理念」を明確化
 施策は、昨年十月に初当選を果たした山田登美夫町長が掲げた公約。その一環として、すでに六月から町内各地区を回る「町長と話し合うつどい」をスタートさせた。
 同町によると、自治基本条例は、町づくり全体の基本的な理念やルールを明確にするもの。現時点で同町が想定する名称は「住民参加条例」(仮称)だが、単に参加の仕組みをルール化するだけでなく、”憲法”にふさわしい内容まで視野に入れたい意向だ。
 住民参加では、各審議会の委員公募や公園づくりなどすでに実現しているものもあるが、この条例が施行されれば、生活に直結する大きな町づくりの計画について、素案づくりの段階からの住民参加を「保証」することになるという。

オープンな議論狙う
 条例策定の検討は昨年から始まり、現在、作業の中心となる「専門研究委員会」を設置。今月五日には初会合が開かれた。五月には庁内組織として関係部署の主幹、副主幹級で構成する「研究部会」も立ち上げた。
 「専門研究委員会」は公募で選ばれた住民七人のほか、町議や自治会、経済、教育、福祉など各分野の代表など計二十五人で構成。アドバイザーとして、地方自治や行政などが専門の辻琢也・政策研究大学院大学助教授を迎えた。
 初年度は、条例のタイプなどについて研究を進め、年度末には中間報告をまとめる予定。来年度は具体的な条文案を検討し、十二月の町議会に議案として提出したい考えだ。
 町総務課は「事務方がスケジュールから素案づくりまで主導するのが普通だが、今回は違う。主体はあくまでも委員会。この条例にふさわしく、議論をオープンにしながら検討を進めていきたい」と意気込む。

ニセコ町が先駆け
 こうした条例の先駆けとなったのは北海道ニセコ町。昨年四月から「まちづくり基本条例」を施行している。同町によると、同条例は全四十五条から成り、柱は「情報共有」と「住民参加」。条例に盛り込まれた「住民自治」の理念を次代に引き継ぎ、育てていくとともに、時代の変化に対応するため、最低四年ごとに見直す規定も設けた。
 同町は「情報をオープンにするなど、町が従来行ってきたことを条例化しており、仕事のやり方がこれで変わったわけではない」と説明する。「だが、条例がよりどころとなり、住民や職員の意識は確実に変わったと思う。公聴会なども、開くのが当たり前のように受け止めている」(同町総務課)という。

温泉掘りも検討中
 条例の検討と並行して、愛川町は「町民アイデアまちづくり事業制度」と「温泉施設調査検討」の新事業に取り組もうとしている。
 まちづくり事業は、町民が自主的に実施する事業や町が主体となる事業について、アイデアを広く募る構想で、採用された事業には補助金や奨励金を交付することも計画。来年四月の募集開始を予定している。
 もう一方は、町内初となる温泉を掘り当てようという試みで、昨年末から検討。今後は探査位置や建設場所の選定などを研究する。ともに公募委員や有識者による検討委員会を設置する計画で、両事業とも「住民参加」の具体化といえる。
 同町では「住民参加なくしては、これからの地方自治、行政は立ち行かない。町づくりへの住民の意識をどう高めるかが課題」と話しており、その成果に注目が集まりそうだ。
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