05/09
第1回臨時議会

<説明>

5月9日(木)、第1回の臨時議会が行われました。
そして、懸案となっていた志田・向原処分場の適正閉鎖事業が補正予算として提案されました。
総額は約3億2千万円、志田処分場には雨水対策としてキャピラリ−・バリアを向原処分場には雨水対策として同じくキャピラリ−・バリアを施工し、さらに地下水対策として周囲(上流側3方向のみ)に遮水壁を設置するというものです。

しかし、これでは話が逆ではないでしょうか。ダイオキシンや重金属が埋まっている志田の処分場にこそ、遮水壁を設置する必要があるのではないか。それに対して、向原については、巨額のお金をかけてそんなおおげさな対策をする必要性はないのではないか。

もともと、向原処分場には主に<し尿>が捨てられてきました。向原に限らず、<し尿>の捨て場だったところは、あちこちにあります。昔のことなので、いつ埋め立てかわからなくなってしまったところもあります。

しかし、そうした<し尿>の捨て場が周辺の環境に対して何か悪い影響を与えているという話は聞いたことがありません。<し尿>は有機物で土の中で自然に分解されてしまいます。だから、放置されたままでも、とくに問題は起こっていません。わざわざお金をかけて何か対策をしようなんて誰も考えやしません。し尿の処分場をこんな大げさな工事をしてまで閉鎖しようなんて自治体は、たぶん、日本広しといえども愛川町だけじゃないでしょうか。いったい町は何を考えているのか理解に苦しみます。

というわけで、危険性の高い志田処分場に必要な対策が行われず、逆に、危険性がほとんどない向原処分場に必要のない過大な設備が税金を使ってつくられるということに対して、私は反対の討論をしました。


<反対討論>   (要旨)

まず、結論から申し上げます。
今回提案された志田・向原最終処分場の適正閉鎖事業は、もう一度、基本に返って再検討すべきである。
このままでは将来に禍根を残すことになる。よって、平成14年度の愛川町一般会計補正予算第一号は、このまま認めることはできません。反対であります。

以下、反対の意見を申し上げます。

本会議の前に開かれた議員のみ全員協議会での説明会や総括質疑の中でも明らかになったように、志田と向原両処分場の対策についてはあべこべです。必要がないはずの所に過剰な施設がつくられ、きちんとした対策が必要なところにそれがないという、素人が考えてもおかしな内容になっています。

まず、向原処分場です。はっきり申し上げます。
必要性・緊急性とも認められません。税金のムダ遣いです。

基礎調査報告書についても、よく内容を読めば、特に、問題はないということがわかります。
いま、億の単位のお金をかけてやる事業ではないということです。

それに対して、志田処分場です。
環境汚染のリスクが高いという点で将来へ向けた対策が必要です。埋まっている廃棄物から考えても、きちんとした対策をすべきなのは志田の処分場です。

その肝心の志田の方の対策をやらないで、逆に、その必要性がない向原に過大な投資をして、必要のない遮水壁を設置するというのは、常識で考えてもおかしい。

町の意思決定がきちんと行われなかったことも指摘しておきたい。
これだけの規模の事業です。トップの責任ある政治的な判断が不可欠であったにも拘わらず、いつ、誰が、どこで、方針を決め、町としての意思決定をしたのか、その点がはなはだ不明確でした。あまりにも国・県の指導やコンサルの意見に影響されてしまって、町としての方針が明確ではなかった。

それと、国の補助金にすぐ飛びつく悪い癖が出てしまいました。
飛びつくのはいいとしても、その前に、本当に何が必要で何が必要でないか、その点の吟味をきちんとした上で、飛びつくべきでありました。

今回は、5年間の時限立法、時限措置ということで、それに踊らされてしまったようです。それで、国の補助金をもらうことが自己目的化してしまって、事業内容の吟味、必要性の有無、緊急性の度合いなど、慎重に検討すべきはずの作業を怠ってしまいました。

それが、必要なところに必要なものがなく、必要のないところにムダなものをつくるという、常識で考えてもおかしいと思うような事業計画をつくることなった原因のひとつでもありました。それもこれには、数千万円ものお金をコンサルタント会社に支払い、その技術的指導・アドバイスを受けながらというオマケまでついていました。まったく、恥ずかしい限りであります。

過ちは過ちを生みます。
基礎調査はいいとしても報告書ができあがった段階で、議会に対して何の説明もなければ報告もありませんでした。これも問題です。

志田・向原の処分場をどうするか、報告書ができあがった段階で、議会に報告し、議会に意見を聞けばよかったのです。そうすれば、少なくともこういう結果にはならなかったと思います。町の将来を考えるのに、何も議会に遠慮をする必要はありません。どんどん意見を聞いて、一緒に考えればいいのです。また、そのための議会でもあるのですから。

ところが、情報公開じゃなくて、議会に対しては、情報隠しまで行われました。
昨年の12月議会、基礎調査の報告書が全協で配られたが、処分場の閉鎖に関する基本的な考え方が示されている肝心の後半部分がカットされていました。私がそれに気がついたのは、3月の議会が終わってからのことです。

しかも、このように肝心の部分を議会に知らせないということをしておきながら、今度は、この事業の説明を今回の臨時会の中で、しかも直前の説明会の開催という異例の措置をとって行いたいというのですから、理解に苦しみます。

説明会が必要であるならもっと事前に、十分時間をとって行うべきであるし、本会議の直前に内容的にもかなり難しい専門的な事業の説明を受けて、それに対して内容の検討もじゅうぶんできないような状況の中で本会議を開き、質疑・討論・採決という余裕のないやり方で、我々議員としてもどこまで責任もった審議ができるのか、、、、はなはだ心もとないものがあります。

本来なら、今日、全協で行われた説明会は1年前にできたはずです。これを1年前にやるべきだったと思います。当然、コストや財源の問題も出てきます。周辺環境への影響なども考えあわせ、町としてどうするのがいいか、当然、議会もまたそれを考えていかなくてはなりません。

コンサルの報告書は報告書として、それを参考にしつつ、町は、総合的な視野の上に立ち高度に政治的な判断をしなくてはならない。専門的な知識が必要なら、専門家の意見も聞く必要があります。そういったことをふまえた上での町としての最終的な意思決定、トップの決断、これがきちんとできていなかった。不十分であったと思います。

基礎調査の報告書もいくつか重要な点で疑問に思われる点があった。
志田の処分場については、ケ−ス@、ケ−スAとした設定自体が強引で、電気伝導度や塩化物イオンに処分場の影響が出ているにも拘わらず、それを指摘しておきながら結果としてそれを無視するという、はなはだ科学的でない強引なやり方が行われました。

そのため、基礎調査の段階では検出されなかった重金属の鉛が、定期観測用の井戸から7月に検出されるという事態になってしまいました。No.2の観測井戸から環境基準の2倍の量の鉛が検出されたのです。これまで電気伝導度や塩化物イオンが高い数値を示していることからすれば、それは当然、予測できたことです。

処分場の地下水から鉛が検出されたということは、本来なら、これは大事件です。なぜなら、N以外は問題ないという仮定の上に立つ基礎調査報告書が示した<適正閉鎖対策工法の考え方>そのものが、理論的に破綻していることを観測デ−タが教えてくれたからです。

しかし、この大事件に町はどう対応したかといえば、1か月後、もう一度、このNo.2の観測井戸で鉛だけについて再度調査を行い、今回は検出されなかったということでので、問題なしとしてしまいました。

これは信じられないことです。一度出たものは、また、必ず出ます。そこに埋まっているのですから。処分場から消えてなくなってしまったのではないですから。出なかったのはまったくの偶然です。むしろ、これからが本番だと考えなくてはなりません。

そのうち鉛だけでなく、クロムやカドミウムなどの重金属も溶け出してくるかも知れません。電気伝導度や塩化物イオンの濃度が高いということが先触れとなって、それを教えてくれているからです。ダイオキシンやビスフェノ−ルA、あるいはフタル酸エステルなどの環境ホルモンもこれからは心配です。


で、問題は、この対策です。
とうぜん、ケ−ス@ではなく、これはケ−スAの場合で対策を考えなくてはなりません。つまり、志田処分場の対策には、何らの形で遮水壁が必要だということです。しかし、ここでも町は強引にそれを無視するという過ちを犯しました。しかも、今回は意図的にです。

さらに、志田処分場の対策について、もうひとつの過ちを町は犯しました。今回提案された内容では、最終処分場の廃止基準をクリア−できないのです。最終処分場の廃止基準、さらには構造基準とも満足していないのです。それを自ら確認するかわりに、国・県のヒヤリングでそれでいいと言われたからといって済ましてしまっています。

そんな基本的なことも知らないで、町が意思決定したということ、これもまた問題です。
一体、この町の意思決定の仕組みはどうなっているのか、考えると背筋が寒くなります。

ところで、愛川町と同じ状況にある埼玉県の岩槻市では、処分場の浸出水が環境基準を満足しているにも拘わらず、将来に向けたきちんとした対策が必要であるとして、処分場の周囲に遮水壁を設けることにしました。

岩槻市から学ぶべきは、この問題について詳しい職員がいないことから、国立公衆衛生院の廃棄物の専門家の方などで構成する処分場の環境保全対策技術検討委員会を設置して、その委員会から意見を聞いたことです。素人の考えだけじゃなく、専門家の意見もきちんと聞いた上で、自治体としての意思決定をトップがした、これが岩槻市のやり方です。

愛川町だって、その気があるなら、廃棄物対策審議会や環境審議会に意見を聞くこともできたはずですし、そこで、これは我々だじゃなく専門家の意見も聞いた方がいいということになれば、その時点で専門家の方にお願いして検討委員会を設置することもできたはずです。

まだまだ問題点はあります。
しかし、これ以上は申し上げません。

これまでの結論ははっきりしています。
誰が考えても、これはもう一からやり直しするしかないということです。

こんな素人が考えてもどうかと思われる内容の補正予算を通したということになったら、それこそ、議会もその責任を問われることになります。もう一度、基本に返って考え直すべきです。実施を1年遅らせても、将来に禍根を残さないやり方・方法を考えるべきです。

そのためにこそ、情報公開と住民参加があるのだと思います。
しかも、それは町長の行政運営の基本方針でもあります。

全国の市町村がモデルとするような、内容的にも優れた適正閉鎖事業を全国に先駆けて愛川町でつくったらいいと思います。また、それこそが町長の政治理念である情報公開と住民参加を実践することになるのですから。