<賛成討論>
平成16年 9月 定例会(第3回)-09月17日
◆10番(熊坂徹君) 私は賛成の立場から、この最低保障年金制度の創設についての討論を行いたいと思います。

 先ほど来、賛成の立場、あるいは反対の立場からいろいろ意見が出されたわけですけれども、その討論をお聞きしまして、反対の立場からのご意見というのは、簡単に言いますと、保険料を払わない人が一律に最低保障年金を支給されるというのは非常に不公平じゃないかというのが1つと、その財源をどうするのよという、この2つに集約されるかというふうに思うんです。

ただ、じゃあ、今の制度が不公平じゃないかといったら、その点については反対の方は何ら触れられていなかったんですね。私は不公平・不平等というんであれば、現在の制度そのものがもう不公平・不平等じゃないですかと。それが年金不信を生んでいる根本にあるというふうに思うんです。

 幾つか指摘をすれば、まず第3号被保険者という、この問題があります。いわゆるサラリーマンの奥さんです。この方は保険料を払っていないんです。でも、もらえるんですね、今の年金制度では。だれが負担しているかというと、サラリーマンの単身者、あるいは独身の方がこれを負担しているわけです。もう既に不公平ですね。

国民年金に関しては、また払えない人、所得がない人は、要するに減免制度があるんです。全額免除だとか、半額免除だとか、これもまた細かいあれになるようですけれども、もう既に第1号被保険者の3分の1が保険料を納めていないという、こういうもう現状ですね。4割だという話もありますけれども。

もう1つ、現在の制度が不平等なのは、要するに25年問題があるんです。25年払わないとだめだよというんです。だから、24年払ったって、払ったのにもらえないという、今の制度はそういう制度です。

 外国の例を見ますと、せいぜい5年かそこらです。長くても10年です。この25年というのは非常に制度自体としてもハードルが高い制度かなというふうに思うんです。これこそ払った人がもらえないというのは、またこれは不平等・不公平じゃないですか。私はそう思うんです。

 先ほど、年金は相互扶助によるという、そういうご意見がありましたけれども、それで社会保険だということですね。ところが、日本の場合は100%社会保険になっていないわけです。国費が現状で3分の1国民保険へ入っているわけです。さらにこれをまた国費で2分の1負担するという、そういう議論になっているわけです。これは純粋な社会保険じゃないんです。

 なぜ、こういうことになったかというのを考えてみますと、その辺の基本的な社会保障の考え方がどっちつかずなんです、日本の制度というのは。憲法第25条に基づくそういう考え方、社会保障の考え方ですね。

きっちり基礎的な部分は国が責任を持って保障しますというふうに考えるのか、それとも払える人が払って、要するに自分が払った分に見合った分を将来年金としてもらうという、どっちかというと、自己責任型でアメリカ型の考え方だと思うんです。

どっちかしかないんですよ。どっちかしかないんですけれども、日本の場合は混在しているわけです。本来は、保険でやるべきところを国費が入っているわけです。だから、もう制度自体がぐちゃぐちゃになっているわけです。

 そういったところから、さっき言いました第3号被保険者の問題とか、あるいは、国民年金の空洞化の問題が出てきているんではないかと思うんです。

 この最低保障年金制度というのは、非常に古い議論なんです。ちょっとここで、まあ、委員会でも紹介したんですが、せっかくの機会なので紹介させていただきますと、1950年、社会保障制度審議会が勧告を出しているんです。

この中に既に、無拠出年金制度の創設というのを提言しているわけです。さらに1977年、やはり社会保障制度審議会、ここの建議をしているんですが、新しい全額国庫負担の基礎年金を創設するという、そういった内容の建議をしているんです。今にして思えば、このときにこういう制度にすれば、今のような国民年金の空洞化とか、年金に対する国民の不信感というのは生じなくて済んだんじゃないかというふうに思うんです。

時の政府は、れっきとした社会保障制度審議会というのがありながら、ここの建議を尊重しないで、大臣の私的諮問機関を、年金制度基本構想懇談会というのをつくって、ここに答申させて社会保険方式をやるんだと。基礎年金を社会保険方式でやるんだという、社会保障制度審議会の建議を尊重しない、そういう方向を選んだわけです。ちょっとそういうところから今、日本の年金制度というのは内容的に非常に混乱しているという状況だと思います。

 それで、もうちょっとしゃべりますと、政党によってもいろいろな年金制度の改革案を示していますけれども、今まで政府は基礎年金の考え方、最低保障年金という考え方に反対してきたんですが、政府の中でも財務省はスウェーデン方式の年金制度に転換するようにと、こういう考え方なんです、実はね。

 さらに経済界です。日本の財界はどういう考え方をしているかというと、基礎年金です。財界の考え方はですね。

要するに、公的年金制度についてでありますけれども、経済界の考え方というのは、全国民に共通する基礎年金の財源を税法式に切りかえるというのが1つ論点で、もう1つ厚生年金の保険料を抑えるため給付水準を引き下げるという、こういう考え方なんですが、いずれにしましても、経済界は基礎年金を税方式でやるんだと。

これが将来向かうべき正しい年金制度のあり方だということを経済界はちゃんと出しているわけです、そういう報告書の中で。「公的年金制度改革に関する基本的考え方」というのを経団連は出しているわけです。その中で基礎年金を言っているわけです。

 あるいは、民間のシンクタンクの構想日本というのがありますけれども、この構想日本も「真のセーフティネットとしての『新基礎年金制度』の創設」ということで提案をしているんですね。もう既に3年か4年前だと思うんですけれども。

 そういった流れの中で、経団連がそういう提案をしているから、私も賛成だという、そういう意味じゃなくて、経団連の考え方というのは、非常に新自由主義的な考え方といいますか、非常に経済合理性の上に立った考え方なんですね。期待できませんよ。当然経団連の思惑というのがありますから。

ただし、でも、年金制度の制度設計のあり方としては、全額国庫負担の基礎年金方式というのはこれからの時代もう避けられないという考え方をしているわけです。それで、国庫負担を2分の1にいずれしますけれども、それをもとにして基礎年金のあり方を考える。そっちに移行すべきだという、こういう考え方ですね。経済界の考え方はですね。

 ということで、少なく納めてたくさんもらえればいいんですけれども、そんなことは絶対あり得ませんね、年金についてはですね。だれがどういうふうに負担するか。そういう問題ですから、社会保険方式でやろうが、あるいは税方式でやろうが、国民の負担というのは変わらないわけです。

ただ、その辺をいかにうまく交通整理をして、最大公約数で国の経済力も落ちないような形でどうやって国民の基礎的な年金の部分を保障していくかという、そういう視点に立たないと、これは解決の糸口が見えてこないというふうに私は思います。

 ちょっと討論が長くなりましたけれども、そういった意味で、方向としては、私は必ずしも将来バラ色だと思いません。この最低保障年金制度でね。相当給付が切り下げられるという、そういうのは避けられないというふうに思うんですが、それでもなおかつこの最低保障年金、あるいは国庫負担による基礎年金という方向に向かっていかざるを得ないというのは、もう明らかだと思いますし、その水準をどの水準にするかということは、それは国民的な議論の中で決めていけばいいことではないかというふうに思っております。
 以上で討論を終わります。