学校給食に関する陳情に対する賛成討論
若干、長くなりますが、民間委託の問題点も含めて、学校給食に関する陳情に対して賛成の立場から討論します。

まず、そもそもなぜこのような陳情が出されるに至ったかといえば、それは、教育委員会のいささか強引とも言えるやり方に対して、いや、ちょっと待ってくれ、毎日、子どもたちが食べる大事な給食なんだから、そんなに急いで決めないでくれ、もっと時間をかけて話し合ってほしいという、PTAや保護者の方々の切なる思いがあるわけです。
それに対して、教育委員会が十分応えて来なかった、そのためにこうして、署名活動までされた陳情が議会に届けられたということ、まず、そのことを私たちは確認する必要があります。

民主主義はプロセスが大事と言われます。なぜか、それは合意形成のプロセスでもあるからです。いくらいいことであっても、行政が一方的に決めて、それを町民に押し付ける時代ではありません。

で、そういった観点から、今回の陳情については、民間委託の是非を論じる前に、十分話し合いが行われたかどうか、十分説明がなされたかどうか、町民からの意見を十分聞いたかどうか、そして、これが一番大事なことですが、十分な理解が得られたかどうか、まず、この点を確認する必要があると思います。

確かに、この間、何度か説明会が開かれました。しかし、話の内容というのは、お金の話ばかりだったとか、何も問題はありません、何も変わりませんと言うばかりで、これでは返って心配になってしまいますというものでした。

また、どうして当事者であるPTAや保護者の参加を求めなかったのですかという問いには、東京などではうまく行っているから、ここで改めてやる必要はないと考えているとか、給食そのものが変わるわけではなく、あくまでも職員の雇用の問題であるので、行政として判断すべきと考えた、といった素っ気ない答えが返ってきたといいます。

職員の雇用の問題だと言うのは、確かにそういった側面があるにしても、これではまるで、あんた達の問題じゃないんだと冷たく突き放すようなものの言い方ですよね、これは。PTAや保護者の人たちにしてみれば、ああ、教育委員会は、もう最初から話を聞こうという気持ちなどないんだと、そう受け取ってしまいますよね、これでは。

教育委員会が投げたボ?ルが民間委託なので、どうしても話が民間委託を中心に回っていますが、私は、一般質問でも申し上げたように、基本的にこの問題は、学校給食のあり方についての議論をして行く中で考えて行くしかないと思っています。

ところが、一番肝心なそこの部分、あるべき姿、あり方の議論をしないで、いきなり教育の中に行革路線を持ってくるもんだから、話がおかしな方向へ行ってしまうわけです。民間委託というのは、もともとメインテ?マにはなり得ないものなんですね。まず、教育の一環としての学校給食があるわけですから、枝葉の部分の民間委託の議論ばかりしていても仕方ないと私は思います。

しかし、行革ばやりのご時世ですから、教育的な議論をすっ飛ばして、どうしても民間委託がいいとか民間企業が優れているとか、そういう議論になってしまう、そこで、もう何度もやりましたが、民間委託のポイントについて少し申し上げておきます。

よく民間企業が優れているという声を聞きますが、実は、この学校給食の分野については、直営の方が長い経験の蓄積があり、調理のノウハウを持っていて、民間企業はむしろ今この学校給食のノウハウの取得に努めている段階だといわれています。
外食産業にとって、学校給食というのは、いわば最後に残された巨大マ?ケットですから、先行投資という意味もあって、必死になっているということはありますけど、こういった現状では、民間委託のメリットというのは、ほとんどコストが安いということでしかありません。

しかし、調べてみてわかったのですが、愛川町ではそのメリットであるコストも必ずしも安くないということも明らかになってきました。

高峰小学校について、以前、私は、140万円のコストアップになるという試算を紹介しましたが、この間、再見積もりをしたところ、1200万まで下がったので、やっぱり、民間委託の方が安いと、教育委員会は喜んでいらっしゃいましたが、他市の状況をみれば、1200万という数字がいかに危うい数字であるか、一目瞭然です。

高峰小学校クラスの規模であれば、1400万から1500万、これが相場です。しかし、実施後10年が経過した足立区や荒川区、台東区がどうかと言えば、いずこも、現在、1900万から2000万という委託料になっています。つまり、
5割も6割も高い委託料を払っているということです。私、実際、現地へ行って情報公開請求して、調べてきたんですから、間違いありません。

これは公共工事の入札と同じで、競争原理が働けば安くなります。それが働かなければ、3割から4割も高い買い物をさせられる、これは何も給食に限ったことではありません。業者が示した1200万という数字が何を物語るのか、教育委員会にはその意味をじっくり噛み締めていただきたいと思います。

さて、教育民生常任委員会において、コストについてはどうのような審議が行われたのかといえば、民間委託の是非をめぐっては熱い議論が行われたものの、行革の最大のテ?マであるコスト論については、踏み込んだ議論は行われませんでした。

委員さんの間からは、もっぱら民間企業のどこが悪いのかとか、むしろ民間企業の方が先を行っているという民間企業を礼讃する声が相次ぎ、一番肝心な、高峰小学校で委託した場合、本当のところどうなのか、民間企業の素晴らしさがどう発揮されて、具体的にどう給食がよくなるのか、教育の一環としての学校給食の質が向上するのかどうか、その点については残念ながらあまり触れられませんでした。

さて、この陳情においてポイントとなるのが次の2点です。
1つは、教育委員会が一方的に話を進め、PTAや保護者に対して十分な説明がなかったこと、それと2つ目は、検討委員会にはPTAや保護者の代表が入っておらず、住民参加という点でも不十分であったこと、つまり、民主的なプロセスに基づいて民間委託が決定されたわけではないという点に最大の問題があるわけです。

ところが、委員会の審議でもっぱら問題になったのが、先ほども申し上げましたように、民間委託に対する是非論であり、委員の大半は民間委託を推進すべしという見地から意見を述べ、陳情に対して反対の意思を表明されたわけです。

私は、委員外議員として出ていましたが、あれれっと思いました。ちょっと話が違うんではないかと、陳情者は、これは民間委託反対の陳情ではありませんとはっきり言っているんですから。

陳情の趣旨説明をした後、ある委員から陳情のポイントを1点か2点にしぼってくれないかと求められたとき、説明が不十分であることと、住民参加がはかられていない事、の2点をあげていることからしても、陳情者の意図は明白であります。もちろん、陳情事項にもそのことがはっきりと書いてありますし、それは間違えようにも、間違えられないことなんですね。

ところが、ここまで、確認しておきながら、委員会として、審議の方向が民間委託の是非に終始してしまったのは、残念というほかはありません。

考え方としては、こうして陳情まで出されていることを考えれば、円満解決のためには、お互い、時間をとって話し合いをした方がいいに決まっていますし、そのために実施を1年延ばすということはとても意義があることだと思います。

どうしても13年度に実施しなければならない特別の理由があるならともかく、給食調理業務にさしたる影響がないのであれば、ここは民主主義の精神からしても、話し合いの場をつくるのが誰が考えても自然なやり方ではないでしょうか。

この点についても、なぜ1年延ばせないのか、延ばすとどんな問題があるのかこの点については、委員会の中では十分な審議が行われなかったと思います。専ら、待ったなしの行革であるとか、民間活力の導入といった観点からの議論が中心でしたから。

では、実際に1年実施を延ばしたらどうなるのか、1000万近い経費の削減ができます。コストがアップするのではなく、ダウン、下がるのです。延ばした方が、です。1000万も。この間の総括質疑で、教育委員会もついにそのことを認めました。

ということは13年度の実施を急ぐ理由は何もないということです。財政的にもむしろしない方がいいくらいです。では、なぜそんなに民間委託を急ぐのでしょうか、私には全く理解できません。それとも、そんなにも教育委員会は、PTAや保護者の方たちと話し合うのが嫌なのでしょうか。

最後に、民間委託でもめた千葉県市川市の教育長さんの議会答弁を紹介させていただきたいと思います。

「私たち教育委員会として非常に残念だなと思うのは、この給食の委託が行財政改革でスタ?トしたわけなので、当然のことながら経費節減の数字の部分が先行するのはやむを得ないんですけれども、最後までそれが前提になって今のような状況を迎えているというのは非常に残念だと思います。これは、やっぱり教育委員会ですから、教育という立場で、この給食の委託がいいのか、悪いのか、子どものためになるのか、なせないのか、市川の給食がよくなるのか、ならないのか、そういう議論を私たちは十分にしたかったというふうに思っています。」

市川市の教育長さんは、とても正直な方だと、私思うのですが、ここはやはり、教育という立場で、いきなり民間委託ということでなく、本当にどうしたら愛川町の給食がよくなるのか、そういう議論をして行く必要がある、とそう思います。