議案第38号、平成11年度愛川町一般会計歳入歳出決算に対して、私は反対の立場から討論します。
平成11年は、一匹の昆虫が愛川町に激震を引き起こしました。県のレッドデ−タ種であるオグラヒラタゴミムシが、町道幣山下平線の道路予定地で発見されたからです。
21世紀は環境の時代であると公言してはばからなかった町長が、突然この言葉を口にしなくなったのは、開発か環境の保全かの選択を迫られたときに、開発を選ぶしかない自分の姿にお気づきになられたからと推察いたします。
空気でつくられた道路がありえない以上、計画をそのまま実行すれば、道路によって寸断された生態系は決して元にもどりません。微妙な環境のバランスの上にいままで生息してきたオグラヒラタゴミムシやモ−トンイトトンボ、コオイムシやアオハダトンボなど貴重種と言われる生き物は生活の場を失い、ほんとうに絶滅してしまう可能性があります。利便性という、いわば人間のわがままによって、この世から幾多の生物が失われてきました。そして、いままた、この愛川町からけなげに生きるこれらの昆虫たちが住みかをおわれようとしています。
ついさきほど、本議会において、アセス法に準じた調査と環境評価の手続きを求める陳情は不採択となりました。しかし、私は、町に対し、選挙権のない虫たちの声を代弁して、申し上げますが、道路建設がもたらす自然生態系への影響調査を、公平かつ客観的で、透明性のある手続きを定めて行っていただきたいと切に望むものです。
さて、昨年10月には待望の低入札価格調査制度がスタ−トしました。私は、1年も前からこの制度の導入を主張してきましたが、じつは町は、そのずっと以前から研究していたそうで、私の提案がなくても導入するつもりであったと町長は答弁しました。しかし、それならそれで、なにも秘密裡に事を運んだりしないで、入札制度改革の中間報告という形できちんと検討状況を公表すべきでありました。
最低制限価格を撤廃してできたこの制度のお陰で、11年度の落札率は77.14%と一挙にさがり、予定価格の総額からすると、6億7000万円もの税金の節約ができました。6億7000万円という額は、教育費の53%に相当します。これだけで教育費の53%アップは可能です。
さて、11年度は、もうひとつ大きな方向転換がありました。町長の二大選挙公約のひとつである庁舎周辺核づくり事業の破綻です。暗礁に乗り上げてしまった郷土博物館計画につづき、自らの政治生命をかけて取り組んできた核づくり事業までが頓挫し、大きく軌道を修正せざるを得なくなってしまったということは、民間企業であれば、さしずめ株主総会におけるトップの交代は必至でありましょう。トップの状況判断のミスから、億単位の貴重な税金がムダに費やされてしまったわけですから。当然、経営責任をとらされることになります。
さらに、状況認識の甘さはもちろん民主的でない事業推進のやり方に対しても町民のみなさんから厳しい批判の声があがりました。
しかし、いちばん問題なのは、町がこういった失敗から何も学ばなかったことです。6月、区画整理による核づくりをギブアップすることを表明、区画整理によらない核づくり構想の検討がスタ−トしましたが、その中身といえば、単にハコモノをまわりに配置しただけのお粗末な代物で、町民に対する情報公開は全くなく、推進委員会もたった1回の審議でこれを承認、あとは、行政内部で検討されることになってしまいました。
こういった時代おくれの発想にたって町行政が運営されていくかぎり、町民が町を信頼することなど決してありえず、真の意味での町民との協働、パ−トナ−シップなど生まれるはずもなく、愛川町に未来はないと断言いたします。
さて、では各論に入ります。まず、教育費です。目的別の構成比で教育費が10%を切ってしまったということは、私は、愛川町の教育が危険ラインを突破してしまったことを象徴的に表していると思っています。まさに、教育は危機の中にあります。
平成7年まで、本町においても教育費は15%から20%の高い水準を維持していました。ところが、それ以降、一挙に急な坂を転げ落ちるように、10%台になり、とうとう11年度は、9.9%という最悪の結果になってしまいました。いくらハ−ドの事業がなくなったとはいえ、これではあまりにもひど過ぎます。まさか、いじめの対象にされているなんてことはないと思いますが、せめて、厚木市や相模原市のレベル、構成比で12〜3%のレベルはキ−プしていただくよう、強く要望いたします。
海の向こうの話しですが、1997年、アメリカのクリントン大統領は、1月28日の記者会見において、大幅な教育関係予算の増額を含む予算案を発表しました。その内容は、現行で年間240億ドル(約2兆8千億円)の教育予算を、2002年までに2倍以上の580億ドル(約7兆円)に増額するというもので、予算は、授業料の免除、奨学金制度の充実、教育現場へのインターネットの導入などに使われることになりました。
教育費に係わる細かい事項については、後で述べるとして、決算書の順番に従って、まず、総務費から申し上げます。
自治功労表彰は、廃止の方向で検討すべき、町民には違和感があります。2〜3年のうちに情報政策課がまちがいなく必要になります、情報政策に明るい職員の養成を真剣に考えてください。お客様である町民の方から電話をいただいたとき、自分の名前を名乗らない職員がいるのは困ったものです。これは研修以前の問題です。いったいいつまで海外研修を続けるのか、国際的視野だのなんのと言っても、<いずれ役に立つ>程度の価値しかないことのために、わざわざ税金を使って海外まで出かける必要は全くありません。
町内循環バスは、そろそろ受益者負担の原則を考えるときです。もちろん、低所得者や高齢者に無料パスを発行してでのことですが。
平和行政は、戦争体験者への聞き取りなど学校教育との連携を図りつつ、新たな展開を考えるべきです。いつまでもワンパタ−ンの繰り返しでは困ります。
公文書公開に関しては、町の非公開決定に対する不服申し立てが審査会によって、いずれも、公開、一部公開とされたことは、いまだ公文書公開条例の精神を理解していない幹部職員がいらっしゃるということで、残念なことです。
とくに、平成11年4月以前の任意的公開文書については、あきらかに恣意的と思われる決定が行われているにもかかわらず、請求者には不服申し立てする権利はなく、何の救済措置もありません。町は制度の改善を審査会に諮問すべきです。
もうひとつ、一部の課を除いて、町民への情報提供の意識がきわめて希薄です。条文の17条は、町の例規集には印刷されていないのでしょうか。海外研修なんていいですから、職員には、町民のために公文書公開条例の勉強をしっかりやってもらいたいものです。
自治会の代表が同時にまた行政の職員を兼ねるという地区嘱託員制度は、前近代の矛盾に満ちた制度であり、かってうまく機能した制度であればあるほど、今日の時代状況の中では、新しい市民活動への阻害要因となっており、これからの地域社会を担う市民自治の形成には、逆にマイナス要因として働く可能性があります。町は安易に行政区を利用すべきではありません。ひとりひとりの市民にこそ向き合うべきです。
地域情報化については、寒すぎるの一言しか言い様がありません。166、320円という金額もさることながら、ホ−ムペ−ジの作成も職員の片手間仕事では、決して、いいもの、評価されるものができると思えません。言葉でいくら職員自らが研鑚を積むと言っても、仕事で追いまくられているのにどうやって研鑚を積む時間があるのか、また、現在のホ−ムペ−ジについて、これで十分であるという判断はどこから出てくるのか、他市のHPと比べれば、その差は歴然であります。
女性行政がなんで企画課の所管なのか、みるからにあまり得意そうでないので、見ていてちょっと同情を禁じ得ません。企画は得意でも事業までは無理じゃないですか。
リビングモニタ−と町政モニタ−制度は、すでに役割を終えたのではないか。町の公共施設には、私の提案箱も設置され、町への提案は、何もリビングモニタ−や町政モニタ−の専売特許ではないはずです。せっかく区長推薦で選ばれても出てこない人が大半で、それでも同じお金がもらえるなんて、税金のムダ遣いだという声まであります。それよりも、特定の目的のために一定の期間、例えば、町の広報のモニタ−を2年間、4、5人の方にお願いするとか、やり方を考えるべきです。
町税納期前納付報奨金は、廃止の方向で検討すべきです。この制度の一番の欠陥は、毎月税金を天引きされるサラリ−マンの方が利用できないことにあります。廃止したからといって、とくに問題もないのに、なぜ、やらないのか理解ができません。
次は民生費です。老人ミニデイサ−ビスは、事業の効果的な実施方法を社協といっしょに考えて行く必要があるでしょう。お互いのコミニュケ−ションも不十分のようです。介護保険になって、ますます在宅介護支援センタ−の役割が重要になってきました。
やっぱり、高齢者保健福祉計画の総括ちゃんとしてなかったのですね。概ね順調に推移したなんて、どうして言えるんでしょうか。ホ−ムヘルパ−にしても、計画では18人目標のところ、半分以下の7人しか達成できなかったではありませんか。なぜ、達成できなかったのか、原因は何か、それを考えることが明日へつながります。
福祉センタ−で行われている障害者のデイサ−ビス<かえでの家>、重度の障害者が多く、運営も大変なようです。話しを伺えば、<かえでの家>には、移動手段がない、だから、みんなで一緒にどこか行くことができないとか、マイクロバスの利用を検討するとか何か対策を考えるべきではないでしょうか。
父子家庭生活援助については、もっと制度のPRに努め、より多くの方に利用していただくようご尽力いただきたい。
小児医療費の助成は、所得制限を撤廃していただきたい。申請して却下された人が295人中59人、約5人に1人が助成を受けられませんでした。こどもが医者にかかるのは決して贅沢ではありません。所得が多い人は、また、それだけ税金も多く納めています。1500万の財源を確保すれば、それが可能なのですから、ぜひ、実現していただきたい。さきほどの、前納報奨金をやめれば、そのまま、所得制限が撤廃できます。
清掃費については、年間のごみ量や処理コストなど、各年度の基礎デ−タを年次報告書にまとめ情報提供していただきたい。これは、もう、何年も前から申し上げていることです。
土木費については、まず、事業を計画する段階でよく投資効果を考えていただきたい。大いに利用されている道路に人っ子ひとりいないのでは話しになりません。また、職員の方については、これからは道路建設とならんで、環境や自然生態系の保全、あるいは、環境アセスメントなどの勉強にも力を入れていただきたいと思います。
消防費については、阪神淡路大震災以降、ここ数年5.6%,6.9%,8.9%とめざましい伸びを示している、地域防災への投資に異論はないが、財源に限りのあるなか、職員の志気高揚にさらなる工夫をこらし、適正な予算規模の中にとどめるべきでありましょう。消防庁舎の建設は、新規の立地にこだわらず、現在の場所での立て替えも選択肢にいれて検討すべきでありましょう。
さて、いよいよ教育費です。12年度予算について、3月、私は、教育費を倍増させるぐらいの意気込みが欲しかったと討論で申し上げました。それに対して町長は、全協の席で、<教育は金ではない>と意味深の発言をなさいました。金ではなく、こころ、人の気持ち、思いやりだよと、多分、そういった意味で言われたのではないかと思っていますが、<教育は金ではない>ということばには、もう、ひとつ、かわいい子どもためなら、お金は厭わない、確かに我が家の家計も苦しいが子どもの教育の方が大事だ、金には替えられない、といった意味があります。こころだけで教育ができるなら教育予算はいりません。行政としては十分な予算措置を講じるべきであります。
学校教育相談は、まず、教育という文字をはずすことから始めるべきです。今、子どもたちにとって教育ということばがどういう響きをもっているか、まず、それから考えなければいけないのではないでしょうか。
来所相談と電話相談については、なぜ、こんなにも利用者が少ないのか、その原因をきちんと把握すべきです。PRもいまひとつなんでしょうし、利用者としたら、例えば子どもテレフォンとか、もっと親しみやすい名前の方が電話をしてみようという気になることは明らかです。
来所といっても来にくいですよね。こういった問題は心理的な要素が大きいんだから、もっとその点に対する配慮が必要と思います。
カットされた家庭訪問相談員に対する県の派遣事業は、カットしないように要請するとともに、もし、カットされた場合でも、町単独で手当てする方向で事業の継続を図っていただきたいと思います。
千葉県浦安市では、今年度、市単独で60名もの臨時教員の派遣を行うことにしたとか、教育は大事ですから、この家庭訪問相談員の事業についても、今後は、最後の砦は死守するといった気概でお願いしたいと思います。家庭訪問相談員だけでなく、指導主事の増員など教育委員会スタッフの充実も緊急を要するテ−マです。来年度に向けて職員体制の充実を図っていただきたい。
教育研究会は、はやく落ち着いて研究できる本拠地をつくってあげるべきです。
パソコンの契約方法については、いつまでも随意契約というのはまずいと思います。また、中学校の部活動への技術指導者派遣は、ぜひ、派遣枠の拡大を図っていただきたい。
社会教育費の16mmフィルムの購入は、もっときちんとした戦略と考え方がないと、活用を図るのは難しいということです。はっきり言って、現状ではムダ、もったいないとしか言い様がありません。再考をお願いいたします。
現在行われている留守家庭対策事業のきちんとした事業の調査・分析も行わず、いきなり、各行政区での事業実施に走るのは、気持ちは理解できるものの、極めて冒険であるといわざるを得ません。慎重な対応が望まれます。
文化会館事業協会補助金についてですが、まず、公民館運営審議会の在り方を考えなおすことからはじめ、もっと、町民レベルの感覚を取り入れるためには、公募の委員を増やすとか、あるいは、会議を公開するとか、町民から直接事業に対する意見を求めるとか、いずれにしても時代にあった運営ができるような仕組みを考えて行くべきです。
それとともに、当然、事業の内容についても、広く議論をしていくべきと思いますし、従来のサ−ビスを提供するということから、住民が主体的に事業に参加し、住民が自分で事業を企画してつくって行くという方向も考えて行くべきと思います。いまや、住民は単なるお客さんではないのです。
この間、一挙に公民館の自主事業が増えました。町民の障害学習意欲もますます高まり、事業への参加も増えてきています。
初心者パソコン教室で講師の先生からいただいた、町の公共施設にぜひ自由に使えるパソコンを設置してもらってくださいということば通り、来年度といわず、12月補正予算でも、設置をお願いしたいと思います。
公共プ−ルやスケ−ト場の利用率アップに知恵を絞ってください。こういった施設は使っていただいて、ナンボ、です。
プ−ルについては、7月1日から8月末に開設期間の変更をお願いしたい。また、スケ−ト場については、ウィ−クデイにおける学校生徒の利用が何とかできないか、学校関係者とも相談し、実施に向けて進めていただきたい。
最後に、先日、新聞報道された津久井町の記事を紹介させていただきたいと思います。<友達の輪、国境越え>という見出しで、津久井町が毎年行っている中学生の海外派遣事業が紹介されています。「カナダの文化を学んできます−。津久井町の中学生20人が12日から、友好都市のカナダ・トレイル市などを訪問し、交流を図る。トレイル市の訪問は、今年で10回目。」
議員のみなさんも大勢参加された、尾木直樹先生の教育講演会、その席で、先生は作家の村上龍のことばを引用し、<日本にはなんでもある。ないのは、希望だけだ>といわれました。
しかし、そんなことはありません。ここには小さな希望があります。生徒の輝くひとみがあります。そして、その子どもたちの夢と希望を育むのに、津久井町の行政が一役かっているわけです。職員の海外研修もいいですが、これからの将来を託す子どもたちにこそ、そういった経験をさせてあげたいと私は思います。
以上、11年度決算に対し、来年度での教育予算の倍増を期待しつつ、反対の討論といたします。
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