八菅山や尾山耕地・中津川周辺の自然生態系と里山環境の保全を求める陳情
陳情項目

人間が心身共に健やかに生きる上で身近な自然の中で様々な生物達と互いに共存できる環境がとても大切であるとの考え方(生物多様性保全、生態系保全、自然とのふれあい、環境学習など)にたって、八菅山や尾山耕地、中津川周辺の自然・里山環境の保全対策をすすめて下さい。
この地域に計画されている町道幣山下平線整備計画について、環境影響評価法に準ずる調査概要、具体的手法、調査・予測・評価を行う為の手続き等を策定して下さい。
上記の評価結果に基づいた環境保全対策を策定しすすめて下さい。

陳情趣旨

八菅山や尾山耕地、中津川周辺は山・雑木林・水路・水田・休耕田などの湿地・河川など、多様な里山環境に恵まれています。その多様な環境には、他の所では見られなくなってきている色々な種類の生きものたちがくらしています。稀少生物はそれのみで存在するものではなく、それを支える様々な環境や生態系が必要であり、人間もまたその一員であります。この地域は、車が入りにくい状況と共に、中津川にはほとんどない止水環境が水田、休耕田によってつくられ、又、八菅山、中津川と一体となって生物達にとって暮らしやすい環境になっています。
 観察会で、植物、動物の豊かさに気付き、深い感動と、里山環境を残して下さっている方々への感謝の気持ちをあらたにしています。
 子供達にとって、自然体験のできる風土はかけがえのないものであり、また、中津川周辺の里山景観にさそわれて、町内外の方々もこの憩いの地を訪れています。
 愛川町教育委員会発行「愛川町の動物」にあるように、愛川町のみならず、県内においても貴重であり、財産として後世に引き継ぎたいものです。
このすばらしい里山環境を次世代に引き継ぐためにはどうしたらよいのでしょうか。

 この地域の環境保全を考える上で、課題となるのが、町道幣山下平線整備計画(未着工区間約1.7km、幅員10m・総事業費 約34億円)です。国や県の環境影響評価法や条例にかかる規模ではありません。しかし海外において、本来、規模を問わず行う考え方のもの、とききます。ちなみに、川崎市の条例ではその考え方に習い小さい規模からかかります。愛川町においても、前述した貴重な里山環境への影響を事業者である町の責務として明らかにし、今年2000年4月から開始した愛川町の環境基本計画での環境目標と照らし合わせて評価することが望まれます。
 すでに、町道幣山下平線整備計画は環境に配慮した中ですすめるという姿勢が確認されております。尾山耕地周辺での昆虫・稀少種7種類について分布調査を4月から11月まで行い、その結果を待って今後の方針(設計・工法)を考えると聞いております。
 設計に際しては専門化の意見を聞いた上で工法案を考え、生態系の保全を図っていく方向とのことです。また、町内外から高い評価を得られる環境保全モデル事業とするとの強い決意も伺っています。

 
環境影響評価の目的

 99年6月に施行された国の環境影響評価法には“目的”や“国の責務”などが明らかにされています。愛川町にはこの法に準じた条例は残念ながらありません。
 しかし、環境保全への決意をもって事業をすすめるために、国の“目的”にならい“環境保全上極めて重要な環境影響評価が行われ、適正な配慮がなされることが確保されるよう、町の責務を明らかにし、もって現在及び将来の町民の健康で文化的な生活の確保に資すること”を町の環境影響評価の目的とするよう望みます。
 “国の責務”では、「国・地方に公共団体、事業者及び国民は、事業の実施前における環境影響評価の重要性を深く認識して、この法律の規定による環境影響評価その他の手続きが適切かつ円滑に行われ、事業の実施による環境への負荷をできる限り回避し、又は低減すること、その他の環境の保全についての配慮が適正になされるようにそれぞれの立場でつとめなければならない。」とあります。
 これを“町の責務”に置き換えて見ると、たとえ条例がなくとも、特にこの町道計画のように自然生態系や稀少種を有する里山環境における事業計画について、避けて通れない考え方として尊重すべきものと考えます。

環境影響評価法に準じた簡易な環境影響評価について
 町道幣山下平線整備計画において、本格的・統合的な環境影響評価(アセスメント)を行うには、5年間、約一億円弱かかるとのことですが、それに準じた簡易なアセスメントであっても、効果的でメリハリのきいた評価項目の選定で、期間・費用共に十分に可能性のある手段となり得るとされています。
 例えば、現在の分布調査で昆虫の稀少種7種の生息、分布が明らかになりますが、その結果も生かし生態系調査(食物連鎖・繁殖状況を含め、生息環境で、年間を通してどのように暮らしているか=生活史調査)を行い、生態系保全対策を図ります。
 又、国の環境影響評価法に関連して、技術指針などを定める主務省令「道路」では、
道路事業に係る環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査・予測及び評価を合理的に行う為の手法を選定するための指針、環境の保全のための措置に関する指針などを定める省令(平成10.6.12)
の(別表第1…別紙参照)には、
生物の多様性への確保及び自然環境の体系的保全を旨として調査、予測及び評価されるべき環境要素(動物、植物、生態系)の他に、環境の自然的構成要素の良好な状態の保持を旨として調査・予測及び評価されるべき環境要素として(大気・水・土壌他)・人と自然との豊かな触れ合いの確保を旨として調査・予測及び評価されるべき環境要素(景観・人と自然との触れ合いの活動の場)、他が定められており、又、(別表第2)には、標準手法(調査・予測)が定められています。そして評価すべき項目や具体的方法などについて方法書を作成し、縦覧の後、専門家による審議会及び広く意見を聴くよう定められています。
こうした事前段階での手続きは見落としがないようにするためにも重要です。
 川崎市の条例では計画段階からのきめ細かな意見反映の為の諸手続きを定めた先進的な内容になっています。アセスメントの実施方法決定の後、調査・予測、評価を実施し、アセスメント準備書及び評価書を作成し、意見を聞きます。 愛川町の現在の環境審議会においても専門家の意見を審議に反映する何らかの方法を検討されることが望まれます。

評価について

 愛川町は本年4月から、環境基本計画を開始しています。アセスメントにおける評価について、国の法(第4条、第9項による主務大臣及び建設大臣が定めるべき基準 等)には、環境保全対策との整合性に係る検討について、“評価を行うに当たって、環境基準、環境基本計画その他国又は地方公共団体による環境保全の視点からの施策によって選定項目に係る環境要素に関する基準又は目標が示されている場合は、当該基準などの達成状況、環境基本計画等の目標又は計画等と、調査及び予測の結果との整合性が図られているか否かについて検討されるものとすること”とあります。
  つまり、町道幣山下平線整備計画についていえば、アセスメントの調査・予測の結果が、愛川町環境基本計画の環境目標像に合っているか検討し、評価することになります。

愛川町環境基本計画の環境目標の中に 自然と触れ合える町、暮らしやすい町 があります。本文とこの陳情に関連する具体的項目について抜粋し、資料として添付します。
 国の法制定の趣旨として  
“国などの責務”の中には、“事業者においては、事業計画の熟度を高めていく過程のできる限り早い段階から情報を提供して外部の意見を聴取する仕組みとすることにより、早い段階からの環境配慮を行う事を可能とすること、国民においては、環境影響評価その他の手続きが円滑かつ適切に行われるよう有益な環境情報の提供を行うこと、関係法規の遵守はもとより、自主的、積極的に環境の保全についての配慮を適正に行うことなどにより、それぞれの立場において、その役割を果たすことが求められている。”
と示されています。
 国や先進的地方自治体は、法や条例などで自らの責務を明らかにしています。
 愛川町において、たとえ条例はなくとも、町のすばらしい自然生態系や景観、人と自然のふれあう場などを有する里山環境の保全への適正な配慮を行うためには、その責務を明らかにする施策が望まれます。町道幣山下平線整備計画について、できる限り早い段階(例えば計画段階)からの環境影響評価を行い、愛川町環境基本計画の環境目標である、“自然とふれあえる町、暮らしやすい町”を実現できるよう願っています。                                 
以上
平成12年8月25日

愛川町議会議長 田淵国夫殿


陳情者代表:柳石幸子大木悦子 他 1903名